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さて今回は星野リゾートがいかに家業から企業に脱皮したのかを書きます。家業の良さは目先の利益だけを追うのではなく、長期的な視点に立てることです。跡継ぎに任せるまで会社を存続することが最重要ですから、本業重視で余計なことはしなくなる。
家業で起こりやすいネガティブな面は公私混同でしょう。どこからどこまでが会社のお金なのか分からなくなるし、親族間で株式の持ち合いをしていると、正しい評価ができません。一族の社員は一般社員から見ると、不公平な存在と見なされます。ですから企業になるには家業の悪い部分を克服しなければなりません。
私はコーネル大学院の卒業後、1989年に実家を継いだのですが、一度辞めています。当時は自分がいても会社を改革できないと思ったからです。そして1991年に再び戻ったときは会社の株式の過半数を取り、企業化を目指しました。
旅館を経営していた当社の場合、敷地内に親族が住んでいました。これでは水道や電気などのインフラ利用も公私の区別がはっきりつきません。これを分けるために、まず私が敷地内から「家出」をしたのです。住宅ローンを組んで、軽井沢の旅館から車で20分かかる長野県御代田町に新居を構えたのです。「ラディカルなことをするね」と周囲から言われましたが、自ら出て行かないと、親族は動きません。同時に複数の改革を始めました。まずは人事制度。一族社員の評価も能力と報酬に見合うように刷新しました。そして優秀な社員のリクルーティング、業績の改善です。業績も上げないと、一族は納得しませんからね。結局、企業への脱皮に10年かかりましたね。親族が敷地内を出たのは旅館を今の「星のや 軽井沢」に改築した2003年です。もちろん生活できるように家も用意しました。
企業化に拍車をかけたのは2001年、八ケ岳にあるリゾート施設の再生を頼まれたときです。いわゆる不良債権の処理です。早期に黒字化しなければならない。まさに家業から企業への移行期で、軽井沢での課題も多く大変な時期でした。成功したことでその後の信用アップにつながりましたが、これは結果です。下手したら、どれもうまくいかないリスクもありました。
そして、企業への脱皮に欠かせないことは「税金を支払うこと」ですね。それは決算上、利益を出す会社にならなければならないということです。そうしないと、金融機関から借り入れもできないし、設備投資もできません。優秀な社員も集められない。当社は上場していないので、決算は公開していませんが、大学生向けのリクルートブックには掲載し、収益率が高いことをアピールしています。
私も会社の利益が出始めた頃、節税について考えたことがあります。ただ、そのために不要なモノを買っても、会社の競争力にはつながらない。もちろん税率は低い方がいいですが小細工しても仕方ない。やはり企業になるには小さなお金の使い方ではなくて、何を目指すかが大事だと思います。
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