- 大江 健三郎
- 『みずから我が涙をぬぐいたまう日 』(講談社文芸文庫1991)
読もう、或いは読み直そうと思って本棚の前の方に並べてある本を、いろいろ読んでみることにしました。
で、適当に選んだのがこの本―軽い本が続いていたのにいきなりこれか…(ユーモラスな部分はありますが…)
大江作品はどろっとした感じ(どんな感じだ)がちょっと苦手なのですが、これは興味深く読めました。(随分前にちょっとだけ読んではいるのですが、今回一気に読み通しました。)
表題作と「月の男」の中編2本を収録。鮮烈だったのは、前者の後半、八・一五辺りの回想(?)部分です。そして、「Let us sing a song…」と「da wischt mir die Tranen mein Heiland selbst ab.」という二つの歌が重なる(というか何というか)部分がなかなか印象的でした。
後者を読み終えてから見える、二作の関係が面白いですね。
というのが素直な読後感。
今読んで自分が感じた「古さ」、特に政治的・社会的問題に関わる事柄におけるそうした感覚は、それらの問題が最早アクチュアリティを失ったゆえなのか、それとも時代と共に人の意識から消えつつあること自体が問題なのか、現段階の自分には判断できません。ただ、やはり根源的に解消できる問題はそれほど多くない筈だろうとは思っています。
――どうも、上手く整理できていないです。他の本を読んだときに改めて考えることもあるでしょうから、別の機会に譲ります。