人生は郵便屋さんを追いかけまわす以上に面白いことがたくさんある | フィリオとショコラのちいさなおうち

人生は郵便屋さんを追いかけまわす以上に面白いことがたくさんある

 

 

ショコラは、何度も何度も振り返りながら、おにいちゃんをリードします。

おにいちゃん、付いてきてる?

でもフィリオはすぐに疲れるのです。

お兄ちゃんたら、座り込んじゃったの?

あーぁ、動かなくなっちゃったよ。

でも、大丈夫!

ちゃんと、目的地のベッドに到着した2頭でした。

ショコラ、よくやった!

 

世界は、より良い場所となるでしょう。

もし人々が、犬の様に、無償の愛を持っているのなら。

(訳:フィーママ)

画像は

Westies United - Murphy and Dakota's Page

さんよりお借りしました。

 

 

 

 

 

「私に何の関係があるというのだ」さんのブログよりご紹介します。

いつも転載させていただきまして、ありがとうございます。字は転載です。

 

 

人生は郵便屋さんを追いかけまわす以上に面白いことがたくさんある

 

「父をアルセーションに、母をスタフォードシャー・ブルテリアに持つバスターは
1995年ロイ・ハッタスリーのもとに移り住んだ。ずっとの家だ。クリスマスだけのものじゃない。

動物レスキュー・センターから出たとたん、日記を書き始めることにした。
彼の興味のありどころは「匂いをかぐこと」「穴の中に頭を突っ込むこと」「食べること」
そして大切な主人を(誰か他の人が餌を与えるとその人が主人になるが)
意のままに操ろうとすることである。

誇りに思っていることは自分の姿と丈夫なこと、そして犬の哲学を実行すること。
ロンドンとダービーシャーと犬を受け入れるホテルの間を行ったり来たりしている。

バスターの日記は彼の文学的名声のために、
幸いにも彼のお抱え書記であるロイ・ハッタスリーの ウイットとスタイルでまとめられることになる」

Buster's Diary As Told To Roy Hattersley より

 
雑種犬バスターがロンドンのセント・ジェームス公園で英国女王所有のガチョウに襲撃されたとき、
バスターがとった自己防衛手段は裁判で認められず(ガチョウは死亡)、
一緒に散歩をしていたハッタスリー卿とともに罰金75ポンドと犯罪歴が課せられてしまった。

物語はここから始まる。

ニュースが一方的に報じられていることが、バスターには我慢ならず、
ジャーナリストであるハッタスリー卿に自分の思いを書かせ、

新聞に載せたのがこのバスターの日記である。

野良犬からレスキュー・センター、そしてロンドンの高級住宅地へと、
人間と暮らし始めた雑種犬バスターは すべて交渉していかねばならぬ犬生活を語る。
しかし問題は24時間で消えてしまう彼の記憶力だ。

この本は動物飼育を語る真面目な動物心理学の本ではない。
きりきりとねじ巻いてしまった人たちへのねじ緩めの本である。
数々の経験や考察を経て、人間をコントロールする楽しみを獲得した犬の

ハッピーエンド・ストーリーなのだ。

「人生は郵便屋さんを追いかけまわす以上に面白いことがたくさんある」
ということを世の人々に納得させることに成功した本である。

アマゾン書評:ルーシー・ネイラー氏

 

 

この愛犬バスターを亡くした時の、ハッタスリー卿の寄稿記事は、

読む者全ての共感を呼びましたが、それはこちらです。

 

バスターが死んだんだぞ

 

ハッタスリー卿はイギリス政界の要人かつ重鎮で、すぐれたジャーナリストでもありました。
15年連れ添った雑種のバスターをなくしたときは
「人生最悪の日」だったそうです。

彼がデイリーメールに寄稿した記事は胸をうちます。

 

 

犬が死ぬということはおそらく日常のささいなことであろうに、
私はその大きな喪失感に耐えられず、身の置き場がなくなってしまう。

私の元へ全速力で駆けてくるときの首輪のタグのちりんちりんという音。
風呂に入れた後の濡れた犬の匂い。
30秒で食べる朝ごはんのボウルのかちゃかちゃいう音。
私のシャワーが少し長くなったとき、突然ぬっと入ってくる姿。
タオルをとろうと手をのばし、思いがけず彼の顔に水滴がかかった時の恨みがましい顔。
雨そぶるピーク・ディストリクトへ彼に催促され出かけた時のひどい寒さ。
彼のいびきで夜中に眼が覚めたり、出かける時のハーネスの装着が複雑で面倒くさかったこと!

しかし叶うことなら
私はまたもとのあの不便な生活に戻りたくてしょうがない。

ロンドンからダービーシャーに戻る車の中で眠っていたはずなのに
なじみの村の角っこを曲がると突然起きて歓喜の声をあげる。
家に戻って一部屋一部屋臭いをかいだあと、階段の踊り場で窓の外で行く人々を眺める。

バスターと階段に座ってよくやるゲームがあった。
ビスケットを一方の手に隠し、バスターの前に差し出す。
バスターは手でそっと入っているほうの私の手を叩くのである。
それはそれは優しい叩き方であった。
ゲームはいつもバスターの勝利に終わるのであった。
こんな小さな思い出がとても辛く胸を刺す。

誰にとっても自分の犬は特別である。
なので私は書かずにはいられないことだけ書留めよう。

ラップ・トップのコードにからまるバスターを見ない朝はなかった。
暖炉の薪の匂いをひとつひとつチェックしていくバスターの手伝いなしでは、冬が始まらなかった。
玄関にスーツ・ケースを見つけると、その間に座りこんだ。
まるでまだらのスーツ・ケースがひとつ加わったように。
もちろん、彼も一緒に行くつもりであることを 明確に知らせるためである。

客がバスターの席(だと彼がみなしている席)に座ると、
客の横に体をぴったり密着させ座っていた。
猫やウサギや家畜とはうまくいかなかったが、人間は大好きであった。
私の本の出版のときは
読者のおばあちゃんがおやつをもってきてくれるのを楽しみにしていた。
決してノーと言ったことはなかった。
講演のときは拍手のときだけ一緒に吠える。

この10週間私は考え続けていた。

私が彼の奴隷だったことはさておき、私と彼をつないでいたものは何であったのだろう。

私は彼が自分の心の支えであることを楽しんでいた。
そして彼も私のことを心の支えだと みじんも疑っていなかったその気持ちを賞賛する。

彼は「希望」を放射していたのだ。

毎朝食料ドアを開けると後ろに必ずバスターが立っていた。
何かもらえると期待して。

バスターのことを先天的楽天家と呼んでいたが、
彼のことを毛皮を着た人間だという風にみなしたことはなかった。
彼は犬である。

人間のテーブルで物を与えたことはない。犬専用のベッドで寝かせた。
犬として扱うことが彼に対する敬意である。
バスターが犬であってくれることで十分である。
それ以上彼に望むことはない。

15年間彼の成長を見てきた。賢くなるのを見てきた。
年老いていくのを見てきた。
獣医は彼は天寿を全うするだろうと予測した。
これ以上疲れて続けられなくなったときが逝くときだと。

「そのときは彼はあなたに教えるよ。」と獣医は言った。
そしてその通りになった。

短くなった毎朝の散歩でさえもきつそうだった。
朝ごはんもゆっくり食べると決めてしまったようだ。
そして一旦横になるともう起き上がるつもりはなかった。

最後の決断は バスターにとって一番良い方法に基づくものでなければならないが、
私の安楽死の選択をひきのばしたいという気持ちとの戦いであった。

ある朝 私は一瞬の苦悶のときを過ごした後、獣医に電話をかけた。
獣医はすぐやってきた。

バスターはブルーチーズのかけらを食べながら死んだ。
普段は食べることを許されなかった、錠剤を包むときだけ口に入れられた大好物だったブルーチーズ。

私の悲しみだけが特別だというつもりはない。
どれだけ多くの家族が落胆と絶望に陥っているだろうか。

ただ事実をここに述べさせて欲しい。

人生の中でバスターが逝ってしまったことほど痛みを感じたことはなかった。
そして人前で我も忘れて泣いて取り乱したこともなかった。

一階の私の仕事部屋の窓から
人々が日々の生活を送っているのをながめているとき、驚きとともに怒りを覚える。
なぜそうやって普通どおりの生活を送っているように振舞っているんだ。
時計を止めろ。
バスターが死んだんだぞ。

犬を過小評価するなかれ。彼は永遠に続く財産を残してくれた。
彼が与えてくれた喜びの思い出である。

バスターにお手やおすわり、ごろり、握手、
死んだまねなど教えるつもりはなかったし、
彼も新聞をくわえてもってくるようなまねもしなかった。

しかし、彼は ―たいしたことではなかったのかもしれないが、
私の人生を変えた。
バスターは 私の人生は犬なしでは考えられないことを教えてくれた。

またレスキューセンターへ行って雑種の犬を家に連れてかえることは
バスターへの裏切りのような気になった時期もあったが、10週間後また私は探し始めた。
新しい犬はバスターの代わりではない。
誰もバスターの代わりにはなれない。
彼の後継者はまったく別の犬である。

ただしその犬はバスターが輝きをもって示してくれた
「犬を所有することの至上の喜び」を再び証明してくれるであろう





卿の当記事の原稿料はブルークロスアニマルトラストに全額寄付されました。
How I miss my beloved dog Buster
ノーマンテイラー訳

 

 

「バスターが死んだんだぞ」は、繰り返し読む度びに、かあさんの胸を締め付けます。

「バスターの日記」の和訳版が、日本で出ますことを祈りつつ。

 

今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。

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