腕の中で逝ったダッシュという犬 | フィリオとショコラのちいさなおうち

腕の中で逝ったダッシュという犬

フィリオは外うんち派なので、雨が降ろうが槍が降ろうが散歩に出掛けなくてはなりません。

ショコラはおうちトイレが出来ますのでずっとお留守番でしたが、それはそれでストレスが溜まります。

レインコートを着せ、カートの幌を閉め、外を見たい頭には傘をさしかけて、

万全のつもりでもいつも濡れてしまい、濡れると皮膚炎を作るイタチごっこになります。

仔犬の頃はおうちトイレが出来ていましたのに、外うんちの快感が習慣になりましたようで、

これからますます老犬になりますのに困ったものと、かあさんは頭を悩ませています。

 

さて大雨が去り、よく晴れました昨日、やっとお風呂に入れられた子供達です。

ショコラは洗面所で、フィリオは湯舟に入れて洗いますが、

お腹の下あたりの高さに張ったお湯に、この頃フィリオは座り込むようになりました。

以前は立って洗って貰っていましたのに、踏ん張る足が弱り、体力もなくなったのかもしれません。

でもお陰様で、皮膚炎は出来ずにすんで間に合いました。

 

綺麗に良い匂いになって、お疲れ様の子供達です。

 

 

 

 

 

 

 

 

「弥生、スコットランドはエジンバラ発!」さんのブログよりご紹介します。

カテゴリ:動物病院レポート ケース  より

腕の中で逝った Dash(ダッシュ)という犬

https://scotyakko.exblog.jp/7598276/

 

日の短くなった冬の曇り空が、病院の小さな窓から見える寒い週の終わり ・・・。


 

私の腕の中で、眠りに落ちるようにして逝った命がある。
泣きじゃくりながら、最後の最後にはどうしてもそこに居られないと、飼い主さんは診察室を出て行った。

その子は、3歳にならない ウェストハイランドテリア の男の子。

 

 

Dash(ダッシュ) は、何かの事情があって、最初の飼い主さんから手放された。

里親探しセンターで Dash(ダッシュ) がどのくらいの時間を過したのかはわからない。
新しい飼い主さんの元に、彼がやって来たのは 2ヶ月前 ・・・。

Dash(ダッシュ) は、とても体が小さく怯えていた。

新しい飼い主の女性 Mrs.D は、Dash(ダッシュ) とずっとずっと共に生きようとしていた。

Dash(ダッシュ) は、人を噛む、人間に対してとても凶暴になる、子供に牙を向ける ・・・ 

という理由で診察の予約が入った。
待合室で Mrs.D の椅子の下で佇んでいたその小さな身体は、震えていた。
片目を少し覆ってしまうような黒いマズルの淵から、怯えた瞳で私を見つめていた。

獣医師との、長い話し合いの終わりに、獣医師が無言で私を呼びに来た。

 

 

激しく唸り、吠えながら抵抗する Dash(ダッシュ) の身体を抱きしめた。
麻酔の薬が充分効いていても、彼は、やはりその怯えた目で見つめ、必死に抵抗をした。


 大丈夫、大丈夫、何も怖いことはないから大丈夫、怖がらないで ・・・

まるでそれは、自分に言い聞かせるような言葉でもあった。
数秒後、少し汗ばんだような温かな彼の身体は、私の腕の中で浮んでいた。


私は Dash(ダッシュ) のことを何も知らない。
Dash(ダッシュ) がこの3年弱を、どのように生きて暮してきたかを何も知らない。

どこから来たのか ・・・
最初の家族に、愛されていたのか ・・・
牙を向けるようになったのは、噛むようになったのは何故なのか ・・・

誰かのことを、信じられたのだろうか ・・・
何を恐れていたのだろうか ・・・
どうしてあんなに、人間に対して怯えていたのだろうか ・・・

まだ若い、白い、柔らかな毛と薄く透けて見える桃色の肌にキスをする。

 もう、怯えることは何もないよ

そう言って、私は酷く悲しくなった。

怯えていたのには原因がある ・・・
意味がある ・・・
メッセージがある ・・・

Dash(ダッシュ) の恐怖や怯えを理解することもなく、ただ私は、

眠らせることで彼が楽になった ・・・ と信じたいだけなのではないだろうか?
その瞳を無視して、その震えを見ない振りをして、ただそうするしかないと、

決め付けたいだけなのではないだろうか?

まだ新しい黒い首輪を外し、小さな顔に食い込んでいるマズルを外した。

Dash(ダッシュ) がさっきまで、怯えて抵抗して怒って啼いた、その水滴がマズルの内側から零れ落ちた。

 

 

Dash(ダッシュ) が佇んでいた待合室の一角に、木枯らしが隙間風になって埃を舞い散らした。    

 

 

 

フィリオは同じ犬種のウエスティですが、それはそれは優しい従順な子です。

持って生れた性格もあるのかもしれませんが、それは彼がいつも誰からも愛され、優しくされて育ち、

人間に対して絶対の信頼感をもっているからだと思います。

ダッシュが、死を与えるしか方法がないほど凶暴になったのには、必ず理由があるはずです。

 

この子は愛されていたのでしょうか?

彼を怯えさせ、身を守る為に噛まざるをえないような、酷い扱いを受けていなかったでしょうか?

なにも知らないくせに発言するのは控えなくてはなりませんが、かあさんはどうしても、

彼をこうさせたのは人間の方で、彼の責任ではないような気がするのです。

彼はこうして死にたくはなかったに違いありません。

 

日本の愛護センターでは、咬傷犬は100%譲渡対象になりません。

たとえそれが彼の責任ではなくても。

今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。


にほんブログ村