小学校に行くと、教頭先生とC先生が待っていました。
3人での話し合いが始まりました。


教頭先生が口を開きます。

「今日、Cの方から手紙を見せられ、また、これまでのやり取りの一部始終を聞き、これは、学校としてきちんと対応しなければならない事と判断しましたので、こうしてご足労願った次第です。」

教頭先生の手元には、これまでの連絡帳でのやり取りがコピーされたものがありました。

「学校としては、集団登校を続けてもらいたいと思っています。」

「もちろん、私も集団登校ができるなら、それが良いと思っています。でも、なかなか難しいのかなと思い…」

「集団登校も大切な学校生活の場面であり、そこに、やはり太郎君にもいて頂きたいのです。」

「ですから、その場にいたいです。いさせたいです。…だから、太郎の特性を踏まえた上で、安全に登校出来るようお願いをしたんです。」

「走らせないで欲しいという話ですね。」

「はい。太郎は手術の影響で、左右のバランスが悪いことはご存知ですよね。」

「はい。」

「まず、『まっすぐ歩く』ことから難しいことは解ってもらえているでしょうか。そして、『白線から出ない』も他の子には簡単でも、太郎はまず足下の白線が見えていません。『これが白線だよ』と教えられて認識し、『そこから出ない』もどちらにはみ出す事が『出ない』事なのか、太郎は悩むのです。」
「皆の『当たり前』や『なんとなくわかる』ことが、太郎にとっては難しかったりします。」

無言の教頭先生、C先生。

「太郎の事、なかなか解ってもらうのは難しいと思います。特に子どもたちからしたら『なぜ?』と思う事がたくさんあると思います。」
「私は太郎の母親なので、太郎の事で頭がいっぱいです。すみません。太郎のフォローは出来ても、他の子どもたちのフォローは出来ません。なので、私と太郎ができる事で解決策を考えたら、集団登校を止めるという答えになりました。」



続きます。