日本人は、There is, there are構文をよく使う。いろいろな意見はあるのかもしれないが、読みやすい英文を書きたいなら、これらの構文は極力避ける方が良いと言われている。
特に、英語論文を書き始めてしばらくすると、辞書さえ手元にあれば大体言いたいことは言えるかなという手応えを感じるようになる。その段階の人たちの英文には、やたらThere is 、there are 構文が使用されている。やはり、英語学習の初期の段階で習うだけあり、日本語との相性が良いのは確かなのだろう。
例えば、
「酸化物ナノワイヤによりその薄膜が形成された可能性がある。」
という日本語を英訳すると、
There is possibility that the thin film have been formed by the oxide nanowires.
としたくなってしまうのではないだろうか。実際、私に英語の相談をしてきた人にこれをやっている人はかなり多かい。私自身にも思い当たる節がある。
そんな人には、「可能性がある」というニュアンスは、下記の通り、mayの一語で表現して語数を減らした方が読みやすいし、何かと都合が良いといったアドバイスをすることになる。
The thin film may have been formed by the oxide nanowires.
ところが、最初の日本語を、例えば、Google翻訳に入れてみると、Google翻訳は、なんの躊躇いもなく、後者のmayをつかった英文を出力してくる。他のAI自動翻訳でやっても大体同じような結果になるようだ。
もう一つ、簡単な例を見てみよう。
「犬が机の上にいる。」
これも、
There is a dog on the desk.
としたくなる人もいるのではないか。というか、この場合は、何が悪いの?と自分も思う。しかし、Google翻訳は、
The dog is on the desk.
と出力してくる。
他にも色々と試してみたが、Google翻訳はなかなかThere is, there are 構文を出力しない。あえてThere is、 There are 構文は使わないように意識しているのではないかとさえ感じられる。
先にも述べた通り、読みやすい英文を書くためには、There is、 There are 構文は使わない方が良いと言われている。上記の結果から、Google翻訳やその他AI自動翻訳を積極的に活用することは、同時に、There is、 There are 構文を使わないように意識しているのと等しい結果が得られることにならないだろうか。
誰もがスマホを持っていて簡単にAI自動翻訳のアプリにアクセスできる昨今、読みやすい英文を書くためにこれをを積極的に使わない手はない。
拙著ではこのような事例を豊富に紹介していき、英語が苦手な人がAI自動翻訳を駆使して伝わる英語を確実に書く方法を提案する。