NOEL&GALLAGHERを、知らなくても死なない。 | 「山へ行くつもりじゃなかった。」

NOEL&GALLAGHERを、知らなくても死なない。

3月9日金曜日。WMDのスペシャル・ゲストとしてお越しいただくことになりました、
NOEL&GALLAGHERについて、ボクが知っている限りのことを、拙い文章ながら、すこしご紹介します。
“NOEL & GALLAGHER”とは高松のDJ NOELさんと、小西さんのお友達DJ GALLAGHERさんによる2人組DJユニット。
なんでもNOELさんにGALLAGHERさんを紹介したのは小西さんなのだとか。
羽田空港で、紹介するのを、閃いたそうです。
 
大人の男性2人が、ただひたすら、レコードをかけつづけているだけ。
しかも、大抵はお馴染みの曲。
それなのに、こんなにも愉しく、興奮するのは、なぜなのか。 

その前に。いわゆるDJと呼ばれる人は、ターン・テーブルというレコードを再生する機材の前で、
(場合によっては、CDやパソコン上で)一体何をやっているのかを、
簡単に、すこしご説明する必要があるのかもしれません。

大抵、2台のレコード・プレイヤーは、ミキサーと言われる、音量を調整する機材に配線が繋がれています。
細いながら大事なアース線という針金ともに。冷蔵庫と同じく、それはとても大切。
そして、レコード盤に針が落とされ、再生ボタンを押されるか、もしくは、レコードを止めていた手を離したときに、聴こえてくる素敵な音楽。
例えばそれが、向かって左側のプレイヤーで再生されているとします。
すると、向かって右側のターン・テーブルの前で、DJは次にかける曲の準備をし始めます。
これだ。と思う次のレコードを選ぶ段階です。
DJが、首から掛けているヘッド・フォンは、この事前の準備の時に大活躍します。
実は皆さんが聴いている音楽とは全く別のものを、ミキサーを操作して、事前にモニタリングしているのです。
この試聴には、専用の仕掛けがしてあります。ミキサーにある、ツマミやボタンをちょっと、いじるのです。 
そして、プレイヤーを操作してピッチをあわせて、テンポを決めます。
今度は、それとは別にある、フェーダーと呼ばれる、音量を調整するレバーによって、左右のレコードの音量が変化するのを調節します。
これは、各プレイヤーごとに縦についているものと、2台を繋ぐように設けられている、横にスライドするもの、2種類あります。
そして、ここぞ。というタイミングで2曲を繋ぎます。
緩やかに気付かれないように繋いだり、大胆に切って、驚きとともに、次の曲をお聴かせしたり。
そうしてその後は、また次の選曲の準備をします。
レコードを選んで、曲の「頭出し」をして、フェーダーを操作して、音楽を途切れなく掛け続ける。
それが、現場でDJがしている、目に見える動作で、必要不可欠なものです。

さて、NOEL&GALLAGHERのご両人。
この選曲をする動作が、1曲ごとに、違うDJが入れ替わるのです。
1曲交替でDJが入れ替わるセットのことは、「バック・トゥ・バック」と呼ばれています。
格好良くB2Bと略されたりもする、DJスタイルのひとつです。
大抵は、パーティの終わりごろ、出演したDJの皆さんが、感謝の気持ちも込めつつ、掛けそびれた曲や、とっておきの曲をかけたりする。そんな感じです。
ただ、このスタイルでコンビを組んで、息つく暇も無く選曲を繰り広げることも出来ます。
そう、それはひとつのショウ・タイム。
観客として、NOEL&GALLAGHERの魅力のひとつは、その交替する瞬間です。
しかし、実際に選曲をしているお2人にとっては、まさに、真剣勝負の連続となります。
なにせ、どんな曲を相手がかけるのかは、全く見当がつかないからです。
特に、NOEL&GALLAGHERのB2Bは、めまぐるしいスピードで、交替されていきます。
1曲につき、およそ1分弱。曲でいうと、1番の歌が終わるかどうか。
限られた時間の中で、次の曲を選曲する。
相手の再生した音楽を聴いて、的確なレコードを瞬時に閃き、物理的にそれを大量のレコードから選び、
そして、頭だしをして、すかさず、カット・インをする。
NOEL&GALLAGHERの最大の魅力のひとつでもある、「クイック」と呼ばれる瞬間芸。
最高のタイミングで、次の曲に替わって、自分も最高!と思ったのも束の間。
もう、次の選曲に移らなければいけません。
油断大敵。小躍りしている時間は、当のご本人たちには、あまりないのです。
しかし、これでもかというほどに、会場全体へと畳み掛けるカット・インの連続。
これは、実際に現場で目撃してみないと本当に、この衝撃と興奮はなかなか伝わらないのではないでしょうか。

全国で約13件の店舗で販売された、
『Play Loud』 という2枚組みのミックスCD。
全て、一発録音された音源。
めまぐるしく変わっていく曲。ロックからヒップ・ホップ、ジャズやフレンチ、日本の歌謡曲。
スカにレゲエに、ドドンパも。こんなのを、一体どうやって。
と、CDを聴いてる時は、爆笑したり、興奮したり、踊りだしたり。(ひとりで)していました。
先日、京都メトロでの1時間セット、そして大阪マンボ・カフェでの90分強のGIGを実際に現場で体験すると、
その的確な閃きと早業。それに、フロアのお客さまを熱狂させるお2人の「煽り」に
驚きを通りこして、出てきた言葉はひとつ。――天才やわ。

お2人がしている名前入りの白いエプロン。至高の料理人というか、シェフの気まぐれメニューというか。
どちらにしても、その場で選ばれるレコード盤が、次々とレコードプレーヤーに載せられていくのです。
その約9割ほどが、穴の空いたドーナツ盤。いわゆる7インチのシングル盤。
こんなものも、シングルがあるのかぁ。と感嘆している暇もないほど、次々と別の曲がかかり続けていくその様は、まさに阿鼻叫喚。
イントロだけで次の曲に行く。というのを、何度も目撃しました。
本当に世界中のレコードを聴いている。そんなお2人だからこそ、出来るのかもしれません。

高松のDJ NOEL こと、辻一臣さん。 
大きな身体から繰り出される、銀盤各種。細やかなフェーダー捌き。
そして、泣く子も黙る、超絶スクラッチ。
時には、グラス片手に余裕綽々で踊りだし、時には、相棒のカットインに激情する。
とても愉快な、向かって右側の縦置きターンテーブル担当。

それから、謎のDJ、GALLAGHERさん。向かって左側の横置きターン・テーブル担当。
とても誰かに似ているのだけれど、全くの別人。
NOELさんに比べると少しだけ小柄。でも、その選曲は、大胆不敵。
その場の全員の期待を「良い意味で」、一瞬で裏切る、その決断力。
レア盤から、アイドル歌謡までを、一撃必殺。
もちろん、両手を挙げて、煽ります。
この両手をあげるタイミングが、NOELさんと、ぴったり一致するというのも魅力のひとつ。

大人の男性二人が、ただひたすら、曲をかけつづけているだけ。
しかも、大抵はお馴染みの曲。
それなのに、こんなにも愉しいのは、なぜなのか。

ぜひ、皆様に体験していただきたい。と、お世辞抜きで思うのです。

2月6日月曜日。夜9時から。DOMMUNEからの、ライヴ・ストリーム中継があります。


なんと、驚きの3時間ロングセット。
真剣勝負で3時間、生中継。手に汗握る、強烈な3時間。
これは、10時以降の展開が非常に気になるところです。
「耐久戦です。」と先日、GALLAGHERさんも、おっしゃっていました。

DOMMUNE HP  DOMMUNE USTREAM

ひとまずUST中継を、ぜひご視聴ください。
こちら、いわゆるアーカイヴは残りません。
そして、「ああ、どうして現場にいないのだろう。」 そう、貴方は、嘆いてしまうはず。

なんと、お2人は、2月は、仙台、新潟、3月は、岡山、高松と全国ツアー中。*


そして、3月9日金曜日は、大阪堂山EXPLOSIONです。*


共に、熱唱して、自転車にのって、両手を挙げる。
1曲ごとに一喜一憂する。そんな夜を、ぜひ、ご一緒したいのです。

NOEL&GALLAGHERを、知らなくても死なない。

でも、ちょっとした人生の愉しみや、真夜中に大きな音で音楽を聴く歓びを、
知らないのは、すこしもったいない。

と、ボクは思うのですが、いかがでしょう?



(kor/中西カオル)