キャラクターコメンタリー

ロキ&カーチャ編

「(ロキ)私はね、君らが言うギガンテス、つまり我々式に言う『人間』だから。『標準的な』。だからね?これを読んでいる君!特に君らが言う『民間人』の君!『ただの人』の君!君たち式に言う『普通の人』の君!君たち『蛮人』と違ってね、タバコを吸っても絶対病気しないし、依存症にもならないしね、我々『人間〔ギガンテス〕』は。ただ単に血の巡りがよくなって今以上に聡明になってしまうだけでね。ああ、うんまい、タバコうんまい。ぷはー。イヤー困ったなあ、何がってこうしてタバコを楽しんでいると君たちが殊更に気の毒でねえ…。だってただでさえ低い君たちの地位が、こうして我々がタバコによる血行の改善で更なる高みに進むことによってもっと下がってしまうじゃあないか…。そもそもタバコごときで病気の心配をしなければならないなんてもう哀れで哀れで」

「(カーチャ)臭い」

「何?」

「あんた臭い」

「…何だと?」

「口だけじゃなくてさ、なンか全身の毛穴からタバコの臭いする、ああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭いああ臭い…」

「な、なんだとケルベロス!この下等なエヴァ型(デザイナーベイビーの一種=バイオアンドロイド)が!臭いのは貴様だろう!」

「おあいにく様、臭いのはヴァルキューレ(偶然的に異種存在との共生体となった人間とその子孫。ある意味広義の“サイボーグ”)。わたしらは体内で香水を合成できるから、その匂いはしても悪臭はしないの。あんた吸い過ぎで嗅覚麻痺してる…っていうかこの私の匂いが悪臭に感じるっていうことは、タバコのせいで嗅覚が歪んでるのよ。病気!タバコ病!

「びょ、病気⁉私が⁉」

「その症状よ」

「何を言う!私が健康の基準だ!」

「さあ皆、臭いのはほっといて行こ行こ」

「そうだね」

「行こ行こ」

「待て!待ってくれ!」

 

㉗軍管区連合時代

「(初代ブリュンヒルデ。シグルドとの出会いの決闘の渦中で)…こいつ、いい匂い…いや!いやいや、何考えてんだ、あたし!」

「(シグルド)…お前もいい匂いすんなあ!メスってのはみんなこうなのか⁉」

…収容施設の保護室で

 

「(ポニー。シグルドに匂いを嗅がれて)何?」

「(シグルド)…おめえはあの赤いの(初代ブリュンヒルデ)よりいい匂いだな…。いや…いままで嗅いだメスでいちばんいい匂いだ…」

「いやだわ…姉さん(初代ブリュンヒルデ)のほうがいい馨りよ」

「…なめていいか」

…(間。ポニー。失われていた記憶浮上のフラッシュバック。光と音のエフェクトがあってもよい。いわば魂の欠片が人間だった頃、池袋の瀟洒な白い洋館の貸家で姉=少女時代の少佐に、父親から贈られた仮面型アレクサンドラの匂いを嗅いでいるのを見とがめられて)「何してるの?はしたないわよ…!」

「だっておねえちゃん、このお面、なんかいいにおいするよ?」

「え?どれどれ?そう?…そうかな…うん…。そうだね…」

 

 

「お隣さん(の足の不自由な少年)も好きになってくれるかなあ、このにおい…」

…『(シグルドを含む複数のやや粗野な男性キャラの声が重なって聞こえる、やや聞き取りにくい)女って菓子みたいな匂いがするって言うけど本当だな…』

 

 

 

「(少女時代の少佐)キャーッ!」

「…んーん…おねえちゃん…だいじょうぶ…?」

「う…うん…大丈夫よ…」

…「(少女時代の少佐。心中語。7歳の時=故国でのストリート時代、足の悪い少年をあることから逆上して殺したことについて。工事中のビルの上層階の鉄骨組から押し落とした)私…間違ってなかった…。あいつが生きてたら…死ななくてもいい人がもっと死んだんだ…絶対…」

『(その少年の最後の命乞い)やめてよー、やーめーてー!やー!(転落しながら)やー…!』

「(少女時代の少佐。心中語)絶対…(更に飛躍があるようだが、その心理の延長線上に)…そうだ…守るんだ…うちを…私が守らなきゃ…妹も日本人にさせない…絶対…。お父さんに言うんだ…この子を日本人にさらわれないように…『洗脳』されないように…私が守ったよって…きっと…ほめてくれるよね…『よくやったね…』『偉いぞ』って…」

 

「(ポニー。当時、読心能力を持つアレクサンドラの記憶が加わった、自分の中のいわば「見知らぬ記憶」に)え?」

「(この場面の現在。シグルド。悪気なくごく素朴な愛情表現)…うまそうだって言ったんだよ…」

 

㉘作中現在の宇宙における三十数億年前、バジリスクによって地球生命誕生の時代に来た佐和山清太郎、その環境でのみ可能な“魔法”によって3800000000000に分裂分身しながらその統一された人格の最後の思念は歓喜に打ち震え…

 

 

「予想通りだ…。これが…生命が誕生する感覚なのだ…。生命は自分で自分を産みながら一気に無数に爆発的に増殖したのだ…。自分で自分を産む…。これが生物として真に正しい…『自然な』状態だ…。父親にも母親にも縛られない…自立しているということだ…。つまり誰からも後ろ指さされることのない…後ろめたいところが少しもない…一点の曇りもない誇れる状態だ…。フフッ…フフフ…フフフフフフ、それは人類の歴史上、今この瞬間の私だけだ!…ニーチェが言ったな…誰も神にはなれない、諦めろと…。進化の袋小路を論理の追求の中に見つけたと…。だが実験してみたらどうだ!そんなことがあるものか!これが『神になる』ということだ!事実において人間の可能性は文字通り、自然科学的数学的に無限なのだ!私はその出口を開く鍵を手に入れた、それがこの…『私たち』!『我ら』だ!勝った!勝った!勝った!私の『人生』が『世界』に勝った!はっはっは、はっはっはっ、はーっはっはっはっはっは!」

 

 

 

以下の挿し絵は内容と関係ありません

 

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