「(佐和山清太郎)明治の美代〔ママ〕の…五か条の御誓文に基づく憲法…それに基づく法と制度、政治だけが正しい…そのためには超然たる者による独裁が必要であり…現代においてそれを可能にするのはカール・マルクスの科学的社会主義しかない…。その頂点に今上陛下が立たれないなら…」…「正しき歴史のために!」…「人間が自らの意志を実現する…それのみが『歴史』の名に値する、それ以外のことを子々孫々語り継ぐことができようか!」

「…『軍』とは何か!『計画』である!人間と自然、野蛮と文明を分けるもの、いずこにおいても人間を人間たらしめるもの、そして本質的に『軍』の観念、概念に属するものなのである。したがって『軍』即ち『文明』、『軍』即ち『国家』である!『軍』つまり『国家』の登場によって人間は初めて人間となった!それは、軍人軍属の誕生こそが『人間の誕生』であったことを意味している!したがって!生まれながらに軍に属している者だけが、生まれながらに人間であると認められるのである!人間!人間とは何か!人間とは『国民』である!何らの国家にも属さない者は『人間』という美称に値しない!そして同時に『人間』即ち『軍人軍属』であるということは、『国民』の名に値する者は須らく軍人軍属でなければならないということである!『国民』と呼ばれることもまた何人にも与えられるのではないのだ!そして何度でも繰り返すが!

生まれながらに人間であり国民であるということは、生まれながらにして軍人軍属であるということなのである!

したがって生まれるとともに、それに相応しい者を軍に所属せしめる機構を具備していなければ『国家』の名に値しない!そのため、これまで人類は真の『国家』を建てる技術を有していなかった!しかし…リリパット時代の技術を取り戻すことによって初めて『人間』は言葉の正しい意味における『人間』に、そして『国家』は『国家』になるのであるっ!諸君!今、日本は『国家』であるか!」

『否―っ!』

「我々は『国民』か!即ち『人間』か!『国民』『人間』となる機会を、これまでに与えられてきたか!」

『否―っ!否―っ!』

「(聴衆の一人A)むしろ奪われているぞー!」

「(同B)そうだー!国民つまり人間になるという基本的人権を奪われているんだー!」

「そうだー!」

「その通りー!」

「諸君!…あらためて諸君に問おう…。諸君は今、人間か!」

『否―っ!』

「人間たらんとする意志はあるか!」

「あるぞー!」

「真の国家を!」

「真の軍隊を!」

「人間たれ!」

「人間たれ!」