◆アンズの存在感

この作品で、これまた見方によっては、主役のヒナを食うほどの存在感を示しているのが、ライバルヒロインのアンズである。と言っても決して血腥いとかキナ臭いキャラではなく、初めは寧ろ超能力ではヒナに劣りながら独りよがりの対抗心だけが空回りするコメディリリーフとして登場する。この時点ではヒナの方がずっと大人びて優等生に見える。ところがヒナに勝ってこの世界で台頭する当てが外れたのか、無銭飲食の常習犯というある種どん底の崖っぷちに追い詰められるところから、この関係が逆転する。

公園の掘っ建て小屋?暮らしで空き缶拾いのヤッさんに出会い、成り行きで弟子入りするところから文字通り「中学生(前後の年代の)ホームレス」として、ある種早熟な社会人として自活するのだ。同時に、働いてお金を稼ぎ、そのお金で自分の食物を買うという「大人」の生活の基本、礼儀作法、集団の規律、収入相応の(ある意味で年齢相応の!)購買生活をすること。そして礼儀作法や規律には、仲間入りのために先輩方にお酒を振る舞うことや、それも若輩にできることなど大したものではないと恥じ入ること。求められる一芸でうたげw盛り上げることなど、近頃は大卒の新人でもできない人が少なくないだろう、高度なスキルが含まれる。こうして手荒く厳しい実社会の洗礼を受けながら、アンズは目覚ましく成長していく。その一方で初め、ちょっとズレていながらも優等生的に見えていたヒナの方は長く我々の世界で暮らすうちに「不適応」の粗が目立つようになる。

私は思う。このアンズの方がアニメにおいて今社会的に求められるキャラクターなのだと思う。

それは視聴者、特に中高生から新社会人、世間的にはアニメマーケットのメインターゲットとなる層の道徳的行動の「お手本」になるということだ。(その3に続きます)