これを音楽周辺の本にするのは如何なものかという感じもしますが、J.S.バッハにはまってから、自らの世界史的知識の欠如を改めて自覚し、無い知恵のなかでいろいろと読んでいるのです。やはり、キリスト教を知るには、キリスト教世界で虐げられつつしぶとく生きてきた人、即ちユダヤ人を取り巻く状況のことをすこし知っておこうということで、読みました。

●ユダヤ人関連に対する私のとぼしい予備知識
●夜と霧/フランクル
学生時代に、一応読んでおこうと言う安易な気持ちで読んで、衝撃を受けた。しかし、会社に入ってからは深く考えなくなりつつ、世界の出来事を字面だけ後追いするたけで過ぎてきた。その間、「十戒」(国を失ったユダヤ人のエジプト脱出記)や「シンドラーのリスト」の映画も見た。杉原幸子の「6千人の命のビザ」も読んだ。NHKで放映された「アウシュビッツ」といったか名前を忘れたが数回シリーズの徹底したドキュメントも見た。ただ、なぜ、ユダヤ人がそこまで迫害されなければならなかったかのは、「ヒットラーは悪いやつだ」と思うだけで、良く考えたことはなかった。最近は、イスラエルとアラブの混沌とした状況をみて、(解決が見えないと言う意味で)訳が分からなくなっている。地球温暖化の「恐怖」もあり、いまこそが「世紀末」なのだろうか・・・。ステレオタイプ極めつきの映画「三丁目の夕日」があれほど人気が出るのも、単にノスタルジーだけではない「現状からの逃避」なのだろう。私も「うるうる」しましたが・・・。
●第三帝国と音楽家たち―歪められた音楽/マイケル・H/ケイター
2年前に音楽の本を読むのを趣味として始め出し、且つ図書館の利用というのを遅ればせながら知ったとき、この本に出会い、また衝撃を受けた。よくもここまで、徹底してナチに荷担した人を悪く言えるものだとおもう。この本の他、キリスト教関連の本も幾つか読んだ。「一つの神の世界の非寛容」を、すこしは判ってきた。また、ユダヤ人迫害は、フランスでも、スペインでも、(おそらく)ヨーロッパ全ての国にあったのを知り、これは「いったい何だろう」と思っていた。

●(私にとって)の情報源
私は、世の中の情報源として"新書などのタイトル"を眺め,すこし興味があるものは、本屋で前書きと後書きを読んで、わかったつもりになっています。もうすこし興味があるものは、古本屋に出てくるまで1年ぐらいは待ちます。私は、そんな薄っぺらな理解で過ごしています。それ以上深く入る事はない。最近、売れている本に「3次元世の中は5次元世界の表面に過ぎない。われわれは、5次元世界の影をみているだけ」という最近の素粒子の世界の本の記述がある。私は、その泡の表面のあぶくについたゴミの一つのようなもの(だろう)。ほんとうのことは(もう)判らないとあきらめつつ、「増悪の宗教-ユダヤ・キリスト・イスラム今日と聖なる増悪」や「黒い聖母」などを読んでいるのですが、ほんのほんのすこし、立体的になってきたような気がします。

●私家版 ユダヤ文化論/内田樹/文春新書私家版
そういうことで、この本も何となく購入して読みました。著者内田さんはHPで調べると、日比谷高校を素行不良で退学したが、東大に入って、現在神戸女学院大学の教授に収まっているようで、武術も凄い達人ようだ。そのせいもあって、容貌はすこし「悪人顔」だ。女子大生相手にこんなことを講義し、煙に巻いて喜んでいるのだろうか。うらやましくもあり、すばらしくもある。

●「6千人の命のビザ」の「発刊に寄せて」
(私にとって)はっと思ったことが一つありました。この「発刊によせて」は、英国ロスチャイルド当主が書いている。言わずと知れたユダヤ系金融業の元締めです。なお、ユダヤ人を救ったのは、リトアニアの領事の杉原さんだけでないようだ。当時の大日本帝国の対ユダヤ政策もあったようだ。ビザが発行された以降は、杉原さんが救ったユダヤ人を含め極東にいるユダヤ人を日本はナチには渡さなかった(らしい)。

●私家版 ユダヤ文化論/第1章ユダヤ人とは誰のことか
「マルコポーロ」という雑誌が「強制収容所にガス室は存在しなかった」との論文を掲載し、ユダヤ人の団体から抗議があり廃刊になった(そんな記事をよんだことがある)。それで思った、その根拠の一つに「ヒットラーがユダヤ人絶滅を指示した文書は無い」とうのがあるようだが、「沖縄で日本軍が沖縄の人の自決をせまったことはない」という論理と似ていて面白い。また、日露戦争のときに日本政府が出した戦時公債8200万ポンドの約半分を、アメリカのユダヤ系銀行家の一個人が受け持ち、支援した。その理由は、帝政ロシアが、ユダヤ人(又はユダヤ教)を迫害しているから(らしい)。この本には、そういうのが書いてある。なるほど、なるほどと読んでくると、「やはり、世界は少数のユダヤ人が支配している」と思いたくなる。この作者は、「講義を受けた生徒も、誤解をしてそんなことを言ってくる」、「みんな話半分で、全然理解していないので、この本を出した」と言っている。私も第1章を読んだとき、そう思った。

●第2章以降
第2章以降の構成は下記です。
●第2章日本人とユダヤ人
●第3章反ユダヤ主義の整理と病理
●終わらない反ユダヤ主義


著者の内田さんが言いたいことは、この第2章以降なのだろう。そこからがすこし難しくなるし、まとまりがわるいところもあるが、納得させられるところも多い。
中途半端ですが、時間がないので、ここまでとします。もっと簡潔に要領よく感想を書きたいのですが、ここらが私の"能力の限界"と言うものです。気が向いたら(自分のために)続編を書きます。私にとって論理の持って行き方が結構面白かったです。興味が有る方は、自分で買って読んでください。