誰よりも早く起きて、ブログを書いてます。
先週、図書館で首記の本を見つけました。実は山下和仁の奥さんというのは知っていたのですが、それ故に今すぐ読まなくてもいい本と思い、本棚に戻そうとしたとき、ふと本最後を見たらCDが入っていのです。彼女の作品(青い花)等を山下が演奏しているCDがあるのは知っていましたが、「藤家」さんの人となりも知らないので(また、貧乏性なので)、買わなかったものです。

●教訓:「貧乏性」と「忙しい」が重なると、音楽の出逢いは限られ「定番」のみになる。それでもいいが・・・。

一応、彼女は「どんな音楽」を作るのだろうと、(ミーハー的)興味を持っていたので、借りることにしました。CDが付いていたのが決め手になりました。

●教訓:偶然の巡り会いは大切に・・・。もう一つ付け加えると、且つ淡泊に・・・かも。

●藤家渓子さんのプロフィールなど
1963年、京都生まれ。数々の音楽賞をもらう。名前は渓子と書いて"けいこ"と読む。数々のギターが絡む曲を作っているが、これは山下と知り合ったからなのか、またはそのような傾向がもともとあったから山下と知り合ったのか・・・。アジア音楽祭が出会いだったのか・・・。山下(さん)はいい奥さんをもらった(たぶん)。山下も、自分に無い世界に惹かれたのだろう。でも、いつか音楽の方向が違ったらどうするのだろう・・・(人の話だから、どうでもいいが)。

●藤家渓子さんの音楽
(よく知らないので)大それたことは言えないが、彼女の音楽を聴いて、"現代の音楽"は、西洋の音楽形式(パサカリアなどの通奏低音の形式、舞曲の形式、ソナタ形式等)から離れ自由であるが、今までの音楽の発展はしっかりと利用している(のだろう)と感じた。こういう"現代の音楽"なら、たまには聴いてみてもいい(かもしれない)。そうそう、”女性的"なものも、音楽のところどころで(且つ文章で)感じた。男性なら、"形式"は壊すものであり、乗り越えるもの、新たに作るものと思っているが、そういう男性的な予測をはぐらかす(又は、はぐらかされる)心地よさがある。きらいではない。

●藤家渓子さんの本小鳥の歌のように、捉えがたいヴォカリーズ
藤家渓子
読んでみて、なるほど・・・こういう人なんだ・・・、う~ん、このような世界、すばらしくもあり、入りがたくもあり・・・、サラリーマンの世界に首まで浸っていると、とても入れない(ような気がする)。文化系芸術系の感覚で書いてあり、とても聡明な方のようです。私には縁遠い世界のことですが、ついつ惹きつけられる楽しい本です。とにかく読者の知識レベルには無頓着なのが心地よい。でも、京都の女性は怖い・・・と言うところも。山下(さん)も彼女に冷静に見られているのだろうか・・・。

すこし抜き書きなど。あの~●はこのエッセイのタイトルです。

●青い花
生まれて初めて4楽章からなるソナタを書いたとき<青い花>という表題をつけた。・・自分とは縁遠い民族と時代のもので、・・・それを書く必然性などどこにも見あたらない様な気がしていた。・・・どうしても書いてみたいという情熱が・・・自分でも今はよくわからない。ノヴァーリスの鋭い閃(ひらめ)きと豊かな着想、慈しみに満ちた調子は、常に同時代のシューベルトを私に想起させる。・・・<青い花>はシューベルトへのオマージュでもあるのだ。

●協奏か競争か
夫婦の仲の話し。詰まるところ「協」と「競」は相反する言葉ではなく、むしろ表裏一体の概念・・・。と書いてある。結局のところ"おのろけ"かもしれないが、そう書ききれる夫婦はそういない(と思う)。普通は"バカしあい"ですが・・・。

●美しい文章
日本の古典に明るい外国人たちを前にした日本人の驚きは、カメとの競争に負けたウサギの「まさか」という驚きに似てはいないか。・・・・なるほど。この発想は、できそうでできない。

●・・・ということで
この本は、1999年から2003年にかけて「長崎新聞」に「鳥の歌」というタイトルで月1回連載していたものをベースにしているらしい。藤家さんの文は、男性且つ技術系(というより工学系)で長年仕事をしてきた(私の)感覚からすると、発想がとても新鮮で面白い。おそらく、10年以上前の私だったら、「つまらない」本だったと思うが、最近は私自身がすこし変わってきた。こういう方の本を読むと、宇野千代や幸田文(さん)の随筆を思い出す。最近では白洲正子の本を読んでいるような感じ。世の中には、このような女性がいるものだと思う。

●ちょっとした思い出
私が小さいころ、両親の実家とは離れていたこともあり、お盆なんかはまったく行事がなかった。ただ、欠かさなかったのは15夜のお供えです。ススキをとってきて(買ってきてではない)栗と柿と梨と葡萄などをお供えしていました。あとは、サツマイモのふかしたやつとかトウモロコシの茹でたやつがありました。最近になってこの感覚がよみがえる。私は、これをとても楽しみにしていました。それで、日本の色といえば、この栗と柿と梨と葡萄と、あとススキとか(サツマイモとかトウモロコシ)の色が目に浮かびます。あとは、虫の声が聞こえてきます。夏のお祭りより、正月のおぞうにより、なんか不思議でとても楽しい思い出です。

・・・では、ここまでと。