世界も、日本も(混沌とした状態で)動いている。その中で、ギターの世界も(プロも愛好家も)、みんな動いている(ようだ)。一方、私は"引きこもり型おたくギター愛好家"を自認し、もう一つの趣味である"音楽の本の読書"などをこつこつと続けながら、その一部、いや、ほぼ全部(実は、練習している曲だけが秘密です。途中でやめたりしているので・・・)を、ここに書いています。

●ギター-ルネッサンスから現代まで./濱田滋郎訳/音楽之友社
これを図書館で借りてから、(私自身のために)ブログで整理してきました。この本は、いろいろ引き出しがあり、(私のように何も知らない場合も、また、ある程度知っている方にも)熟読するとより一層、面白いと思います。また、この本は、その時代時代の文献からの引用が多い。・・・というか、文献的考察で、ギターの歴史を俯瞰しようというのが、この本の意図で、私はそのアプローチを(とても)気に入っています。ただ、この本の抜き書きも一応ここまでとし、数年後にまた借りてみようかと思っています。

●この本の抜き書き
ばらばらですが、気になった抜き書きを記しておきます。
(今は朝ですが、夕方すこし追記します)
○気になるビウエリスト
・ルイス・ミラン(1500頃-1561頃)
スペインのビウエリスト。1536年にビウエラのための最初の曲集「エル・マエストロ(師匠)」を出した。なお、リュートの曲集はスペインでは一冊も書かれていないらしい。話は反れるが、アラビア・リュートがヨーロッパにスペイン経由で伝わったらしいが、スペインには残らなかったようだ。なお、ミランは、譜面に速度の指示を記した最初の人らしい(というか、現存している楽譜が少ないので、そうなってしまうのかも)。
・ルイス・デ・グスマン
1528年ナポリの会戦で死亡。"当代最高のビウエリストだ"との死亡記事がのこっている。
・ムダーラ、ナルバエス
これらの人の名前は、ギター曲に編曲されており、私もたまに弾きます。16世紀前半の短期間に、これらの演奏家・作曲家が輩出したのは"特筆すべき"とこの本の著者は言っている。その後、16世紀末になると歴史からパッタリと消えてしまったらしい。その背景は、(悪貨は良貨を駆逐するように-これは別の本からの引用です)4コースギターに取って代わられたらしい。
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○18世紀のスペインの音楽事情
スペインを含め、ギターの文献が少ない(らしい)。これは、ユーロッパ全体でのギターの衰退を示しているようだ。
○ギター曲の記載法
よく知られるように、採取はタブラチュアで記載していたが、1760年代に出版された「アポロの贈り物」/ミシェル・コレットは、タブラチュアと5線譜で書かれている。ト音記号で書く(実際のギターの音域は1オクターブ低い)ことが紹介されている(ようだ)。なお、このころも、まだ右手薬指は使われていなかった。
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○19世紀のスペインの音楽事情
「ギターは最も普通に使われる楽器である。それはビーズ玉やチョコレートと同じほどお国ぶりを表わす(意味判りませんが)。貴族の館から床屋に至るまで、あらゆる家に見いだされる。」
○アントニオ・デ・トーレス(1817ー1892)
19世紀になっても、"ギターは音律上の粗雑さ"が残っていた(らしい)。そのため、いろいろな亜流のギターも考案された(らしい)。その試行錯誤が、トーレスモデルに修練し、その後に続くギター製作家にとって、"尽きぬ霊感の泉"になった(ようだ)。彼が、弦長65cm、指板のナット近くの最小長さを5cmとすることを定着させたらしい。ギターの音は表面版の扇型力木配置が重要であることを実証した(背面版と横板を段ボールで作り、表面版をいろいろ替えて、ギターの音が変わることで、説明したことがあるらしい)。「トーレスは、サウンド・ホールの下から7本の力木を放射状において・・・・(長いので省略)」ということらしい。
○フェルナンド・ソル(1778-1839)のフランスへの逃避
ソルはマドリードで活動していたが、(1808年)フランスのナポレオンがスペインの政情不安を口実にスペインに侵攻したとき、フランス側についたらしい。スペインがフランスと戦って独立を取り戻したとき、フランス人追放と併せてフランスに逃げたようだ。そのとき、本名の"ソルス"から"ソル"と名乗るようになった。
○ジュリオ・レゴンティ
母親はドイツ出身、母親はイタリア人。ギターを批判していた評論家が、彼の演奏を聴いたら、一転、彼を絶賛したらしい。
○ジュリアン・ブリュームの助言
イギリスの国際的な評価を得ているギター制作家"ディビット・ルビオ"はブリュームに助言を得ていて、ルビオはブリュームの洞察力を賞賛している。スペイン人ホセ・ロマニリョスは、(ブリュームの助言を得るため)彼の自宅がある町に工房を建てた。

●20世紀-ギターの復活
この本の最後(第6章)は、このタイトルになっており、セゴビアの貢献と、セゴビア、ブリューム等が広げたギターレパートリィの拡大と、それに貢献した作曲家と主な作品のことが書いてあります。ここは、愛好家であればよく知っていることなので(と言っても、私はそらんじるほど知りませんが)、またの機会とします。

●最後に
この本は借り換えを1回やって2ヶ月ぐらい図書館から借り続けています。そろそろ、返して他の方の利用に向けた方がいいと思うので、そろそろ打ち止めにしようかと思います。