ふとしたきっかけで、チェロの無料演奏を聴くことができました。(私にとって)大きな収穫がありました。


●小演奏会

○演奏家

林はるか(芸大の現役学生らしい。きれいな方でしたが、人前で弾くのは慣れていないようでした。)

○曲目

無伴奏チェロ組曲1番全曲/J.S.バッハ

無伴奏チェロ組曲第3楽章/ガスパール・カサド


ギターの場合は、一度弾弦すると音のコントロールができない(弦を押さえている左手で多少はできるが・・・)。一方チェロの場合は、弓で弾くので、音の最後までコントロールできるが、それ故に全ての音を意識していないと、聴いた方の集中力がとぎれてしまう。バッハの無伴奏チェロは、こちらも良く聴いているせいもあり「ウ~ン、どんな楽器でもやっぱり独奏で全曲弾くのは難しいんだな~」という印象でした(もちろん技術的には上手です)。でも、芸大で勉強中の方なので、「これからがんばってほしい」と、こころから思いました。


●無伴奏チェロ組曲/ガスパール・カサド

この曲を私は初めて聴きました。彼女の演奏は、バッハと比べると断然こちらのほうが良かった。というか、スペイン的で且つ"ギター的"という(強い)印象がありました。また、スペイン人というガスパール・カサドに興味を持ちました。それで、もしかしたらと思い調べてみると・・・(やっぱり)ありました。「セゴビア自伝-わが青春の日々」に"カッサード一族"のことが書いてあったのです。


「ガスパルは4人いる子供の中の長男で天才的な音楽の素質に恵まれていた。彼はチェロを選んだのだが、私の考えではギターの次に高貴な楽器だと思う。」

「まったく、彼は天使のように演奏する」

「ガスパルとはほとんど毎日のようにあって、すばらしい友情を深めることになった。」


セゴビアは駆け出しの頃、音楽一家であるカッサード家でギターを弾き、ガスパールと交友を持ち、親友になったようだ。また、ガスパールはセゴビアとコンビを組んで、チェロとギター等のセットの演奏会を企画しスペインを回っていた(ようだ)。やっぱり、そうだったんだ。演奏を聴いて、なんかギター的な感じがしたんです(私の直感です)。


HPで調べるとさらに次のことが判りました。

○ガスパール・カサド

・1897年-1966

・カザルスに学ぶ

・奥さん(日本人)の関係で、作品が玉川大学に寄贈された。

・ギター愛好家の南さんが無伴奏チェロ組曲第3楽章をギター用に編曲している。

○奥さんは、伝説のピアニスト原智恵子。

ときどき行くCDショップで特集を組んでいたりして名前は知っていました。日本人としてはじめてショパンコンクールで出た方(らしい)。

○ガスパール・カサド国際チェロコンクール

昨年06年が第1回で八王子で開催された(らしい)。残念ながら入賞者に日本人はいなかった(ようだ)。今後、このコンクールから国際的な演奏家が育ってほしいものです。


・・・ということで。ほんとうに偶然で聴いた(小)演奏会で、ガスパール・カサドのこと知ることができました。彼のことは本で読んでいたはずなのですが、"セゴビアの友人にチェロを弾く人がいた"程度でした。そう言う意味では、ふとしたきっかけでこのチェリスト、作曲家のことを知ることができ、林はるかさんには、大いに感謝です。


なお、このブログを書いた後、食事中にTVをつけたら原智恵子のピアノが聞こえてきました。音楽業界は、ストーリィを求めているのでしょうが、こういう偶然というか、関連づけられる出来事があるのは不思議で楽しいものです。こういうのが"縁"というのだろうか・・・(この部分11時の追記です)。そうそう、ロストロポービッチが亡くなった。ご冥福を祈ります。あと、彼のCD買ってみようかと・・・(ここ数日、チェロとの関わりがある)。