●最近iPodで聞いているCD

ハンス・マルチン・リンデ(フルート)とコンラッド・ラゴスニック(ギター)の「フルートとギターのための18世紀の音楽」というCDを聞いています。これは、学生時代にLPを買って良く聞いたものです。当時のギター界といえば、セゴビア、ブリューム、ジョン、イエペス、範彦、庄村・・・といった有名どころですが、それとはちょっと違った世界で、ドンホアのリュートのLPと合わせて、ギターをほんとうに好きにさせたLPの一つです。7~8年前にCDで再購入したものを、引っ張り出して聞いています。私が知らないだけかもしれないですが、日本のギタリストもビアソラなんか以外にも、この手の他の楽器とのCDをもっと出してほしいと思っています(福田さん以外で出してほしい)。


●「バロック音楽名曲鑑賞事典」購入
バロック

バロック音楽の本は、「バロック音楽」/皆川達夫/講談社学術文庫と「バロック音楽-豊かなる生のドラマ」/磯山雅/NHKブックスを持っているが、正直言っていろいろな名前の作曲家が出てきても、音楽を聞いたことがないので、すこしチンプンカンプン(これ廃語になってるかもしれませんが)でした。それで、もともと(熱心な)バロック音楽の愛好家になろうとは思っていないので、いいナビゲータの推薦曲を幾つか聴いて、判ったつもりになっておこうと思っていました。この本は、私が聞いたことがないリュートの曲が2曲入っていたので、さらに興味がわき、3週間程迷い、立ち読み数回した上で購入しました。


●すこし反れますが「バロック音楽-豊かなる生のドラマ」

この本のバッハのところで、磯山さんは「バッハの音楽は、キリスト教をかならずしも受け入れていない日本人のわれわれをも、すこしも変わりなく慰め、励ましてくれる」と書いている。当たり前のようですが、こういう表現ができるところが、彼(磯山さん)の本の魅力だと思います。

また、磯山さんは、ドイツの音楽は1618-1648の30年戦争にあると言っている(ようです)。この戦争でドイツの人口は、1800万人から700万人に減っています。そこで「復活や永遠の生命を期待しこの世の死を望む」という世界観が生まれ、それが後の音楽に反映していると書いてありました。この世界観がバッハにも引き継がれているとの考えは、新鮮です。なお、あのヒットラー・ナチスドイツを頂点とする「ゲルマン民族の優越」の起点が、この悲惨な戦争こにあると考えるのは、私のかんぐりだろうか・・・。


●バロック音楽名曲鑑賞事典の構成

この本は、バロック時代を17世紀初めから18世紀中として、そこから磯山さんが独断で選んだ100曲を簡単に解説し年代順に並べたものです。記載内容も、彼の豊富な知識で書かれているので、曲の解説を読むだけで、バロック音楽の歴史が理解できるようになっています。また、磯山さんがバッハ研究家の第1人者であるので、所々に、「バッハはこの曲を写譜し研究している・・・」等の記載があり、バッハを多方面から理解できるようになっています。また、選曲も彼の好みが出ていて参考になります。例えば、「主よ人の望みの喜びよ」が入っているカンタータ147番は、カンタータとして聞いて、より一層引き立つと書いてあります。全くそのとおりと思いました。

なお、彼が挙げた100曲の内、私が聞いたことがあるのは、1~50の中で7曲、51~100の中で23曲でした。


●聞いたことがないリュートの2曲

実は、「バロック音楽名曲鑑賞事典」で磯山さんが挙げた下記の2つのリュート曲を私は聴いたことがありません

リュート組曲第19番ト短調/ヴァイス

リュート組曲嬰ヘ短調/ド・ヴィゼ

もしかしたら、本を売るために出版社の要請があったかな・・・、とも思いましたが、新たな発見なので、いつか聞いてみようと思っています。なお、ド・ヴィゼの曲は、ギター用に転調されていてよく知っているあの曲ではないのかな・・とも思っていますが、すこし調べてみよう。


●バッハのシャコンヌ

この本にはバッハのシャコンヌはしっかり入っています。全257小節、62の変奏と書いてあります。変奏の単位は、1楽節で考える場合と2楽節で考える場合があるようだ。別の本では変奏は30で、主題は32回出てくると書いてありました。気力がないので、自分では数えていません。


●バッハのジャズ

磯山さんは、「バロック音楽-豊かなる生のドラマ」にも書いてありますが、ジャック・ルーシェが好きなようだ。わたしも学生の頃、カセットにとって聞きましたが、その後は聞いていない。今は、MJQのジョン・ルイスを良く聞いています。バッハは、次にどんな変奏が来るのかが楽しく、当時の文献にも「バッハの即興は原曲よりすばらしい」と書いてあるようだ。バッハのジャズには、その即興の驚き、楽しさがある。リヒテルの平均律クラビーアのCDはすばらしいが、ジョン・ルイスのジャズの変奏を加えたCDはさらに楽しい。磯山さんも同じ考えなら、私も心強い。


ということで、書き出したらキリがないので、ここまでと。

結論は、「この本は楽しく、参考になった」です。また、リュート曲以外にも、ぜひ聞いてみたい曲を幾つか発見したので(例えばカンタータ106番等)、1~2年の間に聞いてみようと思っています。