先日、GUNの大先輩であるカバ男さんから情報を頂き

南部式大型『甲』『乙』の違いを詳しく調べ直すことにしました。

自分自身絶対的な確信もないし、南部式大型拳銃の『甲』『乙』の違いは、ストックを付ける溝の有無であると、昔に読んだことはあるのですが・・・

僕にとっては、教科書であった『GUN誌』もレポーターの言う事が正しいとは限らないと知るようになると、独学しかないんですよね~

従いまして、今回は多方面から調べた情報を記載したいと思います。

段々とボケ始めた脳に刺激を与え

自分自身の記憶の保存として書いていますので、スルーしてくださいませ。

 

『甲』『乙』と書くこと自体、分かり難いですよね~

そのため古い方の『甲』をグランパ

継続者『乙』を パパと記入します。  

 

 

南部式大型拳銃『甲』グランパ

1902年から東京砲兵工廠(とうきょうほうへいこうしょう)にて開発され

1903年にグランパが完成 すべてが東京砲兵工廠で製造されます。

 

グランパをパパと比べると、

1)『用心鉄が小さい』と書かれているのですが、用心鉄=トリガーガードなんで、トリガーガードがパパと比べると小さいと言う事になります。

 

2)ショルダーストック用の溝がグリップ後部にある

 

3)マガジンボトムが木製

 

以上がパパと大きな違いです。

左グランパ 右パパ

シリアルナンバー 1 

トリガーガードが小さく

マガジンボトムが木製

ショルダーストックが付く

ということで確実にグランパであります。

 

シリアルナンバー 47

 

シリアルナンバー 155

 

シリアルナンバー 262

 

因みに ストック用溝の形状です。

 

このグランパは、軍用拳銃として設計されたにもかかわらず、陸軍では『拳銃は不急の装備であり、軍事予算の関係上 制式採用を見合わせる』となります。

そのために製造数が非常に少なく終わります。

 

ところが、11年後の1914年に海軍の使用していた旧式の26式リボルバーが終了 新たに陸軍が製造した南部式大型拳銃を大量発注し海軍が使う事となるのです。皮肉とも『陸式拳銃』と刻印されているのですが使用するのは海軍ですから、陸軍は、自分たちが開発したにもかかわらず海軍が使用することで『海軍拳銃』と呼び 同じ拳銃を 海軍は『陸式』とそれぞれが逆の呼び名で呼ぶことになったのです。

 

ここから『パパ』となりです。

海軍ならストックは要りませんから、ストックの溝を埋めます。

シリアルナンバー 412 その左に薄く海軍刻印の錨のマーク

ストック用溝埋めていますね。

東京ガス 刻印  前記

 

 

 

 

 

別の拳銃

シリアルナンバー 2271  パパの初期型 東京砲兵工廠に南部式刻印

東京砲兵工廠は、1935年に福岡県の小倉工廠に移転しますが、この時期はまだ東京

薄っすらとストック用の溝が埋められていることが分かります。

 

 

 

別の拳銃

シリアルナンバー 5437  

陸式 刻印

スライド横からチャンバー上に東京砲兵工廠のマークが移動

 

 

別の拳銃

シリアルナンバー 3519  海軍刻印  右は『国軍』?

東京ガス刻印 

ストック用溝は、埋めていなくて、新たに作られています。

 

 

 

以上『パパ』の方は、製造を急いだために

製造工場もマチマチであり、海軍刻印もシリアルナンバーの順番とも関係がないことが判明しました。

ストック取り付けの溝も埋められていますが、後期には、新たに作られていました。

 

 

 

簡単にまとめてみますと、

 

グランパパナンブ 南部大型拳銃『甲』

1903年から1906年頃まで製造

製造数は極めて少数

ストック用溝あり

マガジンボトムは木製

トリガーガードは小さい

全て東京砲兵工廠で製造

 

 

パパナンブ 南部式大型拳銃『乙』

1914年頃から1923年頃まで

7000丁製造

ストック溝は、埋めたものと 完全にないものが存在する

マガジンボトムはアルミ製

トリガーガードはやや大きく、下に下がる

工場は東京砲兵工廠と東京ガス刻印があるが、下請けにも出していて上記2社に集められてから刻印を付けたため 刻印場所が異なるものも存在する。

海軍マークが在るもの 無いものがある

 

以上

世界兵器図鑑 日本編と

半分以上は海外の南部式大型拳銃の記事から纏めました。

 

と言っても海外記事でも気になる文章もあり 

『シリアル番号 2271、1909 ~ 1912 年頃製造』なんて、とても気になる文章もあり、もしかしたら1914年以前に製造はされていたものの 海軍用に1914年以降に海軍マークを入れて、ストック溝を埋めたのではないか・・・しかし、小さなトリガーガードは?  なんてミステリアスな課題も残されてしまいました。

 

今回『カバ男さん』から意見を頂かなければここまで調べなかったと思います。

ありがとうございました。

 

大分スッキリしたな~