考えるな。感じろ。 | ちいさな、おはなし。

考えるな。感じろ。

帰路の電車での暇つぶしにと、
iPhoneの青空文庫アプリで生まれて初めて横光利一を読んでみた。
著作権切れの文学作品がタダで読めるのはありがたい。

それにしてもこの横光利一の『蠅』という作品、

正直、一読しただけではこのヒト何が言いたいんだよ?と思ってしまったが、
やっぱ簡潔な文章で臨場感あふれる描写がすげえ!ってことだけはよく解った。

物事にはいろんな考え方があるけれど、

まあ殆どの物事は「難解でない」に越したことはない。

音楽やってても野球やってても文章書いてても思うのは、

上手い人ってのは結構いる。つーかいくらでもいる。そこらじゅうにいる。

しかし、「明らかに別世界の」人に会ったとき、

本当にこちらが落ち込んでしまうほど、そういう人は「シンプル」なのだ。

難しいことを易しく語ることができる。

速弾きはしてても、よく見るとシンプルで合理的な指の動きをしている。
無駄な動きをせずにボールをさばくことができる。。。等々。

横光利一のこの作品は、そういったことを想起させてくれる作品だった。

そしてまた、改めて考えた。

その小説にどんな意味づけをするか、どんなテーマだと捉えるかは読んだ者の自由だが、おそらくはそこでもシンプルなほうがよいと。

つまり、考えすぎてしまってはよろしくない。

一匹の蠅の視点から見た人間界がどうの、とかそういったことではなくて、

(それはそれで教科書的には悪くはないだろうけど)
ただそこに起きた出来事に口あんぐりとしてしまう、それでいいのではないか。
例えば読み終わって、何ともあっけないなあオイ!って「感じる」、それこそが一番大切なことのように思えてしまう。
読書感想文を書くようなつもりで小説を読むのは苦しい。
ただ感じるのがいちばんだ。

だいたい、作者ってのは評論家の様々な分析を読んで「俺そこまで意味込めてないんだけどなww」なんて密かに思ってることが多いんじゃないだろうか。