ばっく・とぅー・ざ・ジングウ。 | ちいさな、おはなし。

ばっく・とぅー・ざ・ジングウ。

高校最後の打球が、レフトのグラブに収まった。
これ以上激しい練習をしなくてすむ安堵感から、試合終了の挨拶中、思わずほくそ笑んだ自分がいた。

しかし母校に戻って最後のキャッチボールをしたとき、なぜだか自然と、心の奥から涙が湧きでてきて、そしてこぼれた。

夏よさらば。
さようなら・・・

あの夏は、もう25年前になる。

なにひとつなしとげられなかった。
監督の期待を裏切り続けた選手だった。
いつしか期待もされなくなった。
それでも続けた3年間だった。

そんな記憶なのに、今思い出しても心がふるえる。そしてこの清々しい気持ちは何だ。

息子とキャッチボールをするたびに思い出し、悔しさ以上に込み上げてくる熱い気持ち。

なにひとつなしとげられなかったこの自分にも、
たしかに青春はあったのだ。

こんな、おそろしくささやかで、なんの自慢もできない青春を、
自分は心から誇りにおもう。