【小説】-peRon- No.22「Fairy postman」Custom Blythe | = peRon = 工房

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-peRon-

Custom Blythe No.22

 

働く妖精シリーズ

ーFairy postmanー

 

 

 

 

 

↑お話の途中で前作の出来事が起こります。こちらも読むと理解しやすいかと思います。

誤字脱字はよくあることです(=゚ω゚)ノ

 

 

 


僕は動物の言葉が理解できる得意魔法を持っている。
妖精は一人必ず何かに特化した魔法が与えられると教えられたが、まさか動物のおしゃべりできるだけなんて、とかなりショックを受けたのは覚えてる。

誰が動物と話せる能力が欲しいなんて思うのか。
多少の動物言語なら少し勉強すれば、げっ歯類の言葉程度ならわかると思うのに。

どうせなら自然の力を自由に扱う何かならよかった。

得意魔法がわかった段階で妖精たちはそれぞれ魔法に適した仕事を任せられる。
僕は動物郵便係の小動物担当だ。

相棒のフェレットと共に離れに住む小動物に言づてや小包を届け、森の管理の一部を担う役割。
時折動物から聞く森の近況や、不審に思われる現象などを知ることが多いこの仕事は、縁の下の力持ちと評価されているらしい。

表では優等生らしく普通に仕事をして、夜遅くまで妖精図書館で勉強に励む。

そんな毎日だった。



「火をうまく扱う方法ってないかな~」
「最近雨が多く降るから水の魔法の役割が減って退屈~」


自然の力を扱う友人関係の妖精から愚痴を聞かされ、宝の持ち腐れだなっと哀れに思う時がある。

火が扱えれば、水が扱えれば、風を扱えれば・・・
扱いきれないならその力をもっと有効活用できる僕によこせと、妬む気持ちを抑えこんだ。

 

大変だね。という笑顔の裏で僕がそんなことを言っているなんて知らないだろうな。



そんなある日、一冊の本に出合う。
「妖精と魔法の起源」

それはかなり古い本で古代語の記述ではあったが、古代語をマスターした僕が読めないものではなかった。


見つけてから僕は火が付いたようにその本を隅から隅まで読み漁った。


妖精の歴史において大きく魔法という概念が生まれたのは魔女という存在が関わっているとい事は知っていた。

妖精はもともと魔力を持たない存在だった。
だが、人間同士の領土争いや侵略によって棲家を追われ、細々と生きていくしかなかった。
そんな時、魔力を持つ人間と一人の妖精が出会った。

互いに追いやられたもの同士、人間への復讐を決意したことから始まる。

妖精は綺麗な心を持つ人間しか見えないことを利用し、
魔女は魔力を妖精に託し、力を貸し与えた。

その結果、人間は追い出せたが、魔女の力を受け止め続け報復を果たした妖精は、いつしか魔女の助力関係なく魔力を使える妖精となった。

魔力が体に交じり、馴染んだことが原因だと考えられるが、原理はいまだ解明されていない。

魔女は妖精たちと共に暮らしていたが、重い病にかかった。
衰弱した魔女は妖精の献身的な努力かなわず、森の奥深くにある神木の下でひそかに息を引き取った。

その後魔女から力を受け継いだ妖精が周りの妖精たちに影響を与え始めた。
魔法を使えなかった妖精が固有の魔法を発現させた。それが得意魔法というやつだろう。


「ここまではある程度知られてる情報かな。」

僕が興味をそそられたのは次の記述だった。

≪魔女の血を受け継ぐ者はすべての魔法を扱うことが出来る。≫

魔女の血というのは、例の魔女から直接魔力を与えられた妖精の直系。
ただ、僕の知っている彼女はこの記述とは真逆の存在だ。

彼女は自身の得意能力すらも開花させれず、何も力を持たないひ弱な妖精だ。

周りから魔女の直系というだけで守られている。

魔女の血を受け継ぐ妖精の子孫は、始祖のように周りに影響を与えるかもしれないと、一部の妖精は思っているようだ。
本人には直接言わないのだろうけど。



とりあえず僕がするべきことが決まった。

ひ弱なふりをして、実は記述のように本当はすべての魔法を使えるんじゃないか。

見極める必要がある。


「やぁ。ついでにこれお願いしたいんだけどいい?」

さわやかな受けがいい笑顔で彼女の荷車にその荷物を置いた。

「いいよ。どこまで?」
へらりと笑う顔は、僕の浮かべる表面的なものと少し違って毒気を抜かれる。

「・・・・。いつもそうやって安請け合いしてるの?」

「 ? 」

「意味わかんないならいいけどさ。」

ゆっくり距離を近づけて、魔女の力とやらを見せてもらおうかな、







※前作のお話に続く。





*******


あの大事件から数日。

僕はいつもの日課である図書館で本を読んでいた。

そこに図書館の司書の妖精が声をかけた。
彼は右目のモノルクをクイッと上げる仕草をすると、隣に失礼しても?と聞いてきたので素直にうなずいた。

「君も彼女によって大きく影響を受けたようですね。」

「影響?僕は何も変わってませんが・・・?」

「君がこの図書館に来た時の事、今でも覚えていますよ。」

まるで何かに取り付かれたように様々な文献や参考資料を読み、努力をしてきたこと。
しかしある日何かに気づいて失望したこと。
何かに気づいて熱意を持ち始めたこと。
そして彼女と出会い本当の笑顔が増えたこと。

「そして、例の出来事で君は何か大きな転機が訪れたこと。」

にっこりとしたそのこ綺麗な顔面に本をたたきつけたくなったのは、この際言わないでおこう。

「き・・・よく観察しておられるんですね。」

「何か言いかけたようですが、聞かないでおきましょう。それは司書の仕事でもあるので。」

「観察することがですか?」

 

「ええ。以前の君は自身の魔法に付いて快く思ってない様子でしたね。」

 

僕が驚くと司書は口元に手を置き笑った

 

確かに様々な種族としゃべることなんて特に利点があると思わなかった。

でも事件がそれを覆した。

 

森の仲間によって伝えられた彼女の異変と周囲の動き。

どこに攫われ、人間の小屋の秘密の入口も動物たちが居なかったら知ることなんてできなかった。

 

同僚たちは一部の動物としか言葉を通わせられなかったが、情報がどれだけ強い武器なのか身をもって知った。


「本を読むということは自分に無い知識を求め、知り、理解してそれを力に出来るかどうか。君はそれを人一倍会得する力を持っている。しかしここがまだまだ未熟ものだ。」


とんとんと司書は自身の心臓のあたりを指でたたく。

「心なんて、臭いセリフ言わないでくださいよ?」

「まさか。」

司書はクスリと笑い、席から立ち上がる。

モノルクを外し、それを磨きながらポソリとつぶやいた。

「君たちの成長を期待していますよ。」


ふらりと現れ消えた司書に、彼はぽかんとするしかなかった。


「あ、先に来てたんだ。」
放心していた彼に声をかけたのは例の彼女だ。

「・・・?どうかした?」

「いや、長生きしてる妖精ほどおせっかいな事はないなって思っただけだよ。」


首をかしげてクエスチョンマークを飛ばす彼女。

「時々変な事言うよねーーーーくんって。」

「ここにも減らず口のおせっかいな妖精がいたなぁ。」

もにゅーんとその頬を伸ばしてわたわたと慌てる彼女。

取り繕わない彼女に、少し影響受けたのかもね。

 

 

 

 

 

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天才肌だけど努力も怠らない優等生の仮面をかぶった妖精君が書きたかった!

動物言語は確かに勉強すれば喋れるようになるというものですが、

全種族の言葉を理解できるのはNo.22妖精君のみの得意魔法です(*´з`)

同じ動物郵便係でも、彼のようにすべての種族の言葉を理解することはできません。
 

いつか司書妖精さん作りたい🤤