厚みがあれば十分に焼き尽くせる。矢尻まで焼き消すことは出来なくても勢いさえ死ねば矢の攻撃力は無いも同然。
…火傷くらいは許せよ。
三人の気配が消えるのがわかる。いい具合に突如現れた炎の壁にパニックを起こしていたようで抵抗も言葉らしい言葉もなく巴に呑まれたようだ。
ようやく澪と妖精の鬼さんだけになったか。ニューバランス グリーン
「澪、おい澪!」
返事がない、ただの屍のよう……、いや何か呟いてる?
「モウイイ、ヤル、クウワ、ゼンブトカシテジュースミタイニ…」
ぐれいと。行動を起こす数秒前か!?
うううううううう、仕方無い!
僕は少しだけ躊躇したが先端を鋭くした氷のコンペイトウを手のひらに作ると力強く握り締めた。
もっとやり方あったなあと思ったが後の祭りだね。
滴る血液。そんなに大量ではないですよ?
左腕で脇に抱えていた澪の口元に傷ついた右手を持っていく。正確には口元を押さえる。
呟きが止まる。口を押さえたからではなく、澪の口に触れた赤い液体によってだ。
掌に伝わる澪の舌の感触にゾクリとする。あーもう、飲め飲め。そんで片言で呪文みたいにイカれたことを言うの止めろ。
ひとまずこれで澪も止まったことだろう。
じゃあ。
これまで絶えず移動をしながら森鬼さんに呼びかけていた行動を変える。
彼女たちをまっすぐに見据え。立ち止まった。
「ヒューマン、仲間割れか?」
3人を僕が焼き殺したと思っているんだろうか。傍目にはそう見えるよな。
「いや隔離しただけ」
「動き止った」
すぐにBが何やら短杖をこちらに向ける。
周囲に異変を感じる。これは風の魔法か。どんな魔法かは知らないが詠唱している彼女に集まる魔力から程度はわかる。これまでとは違う大技だ。
「澪、散らせ」
一言だけ、抱えている澪に命じる。
闇の魔法は他の属性魔法には無い特性がいくつかある。一番の特性は光を司ると言われている女神の対極の属性と看做され嫌われていることだけどな。ちなみに僕は全く気にしてない。
他の幾つかの特性の一つが……。ニューバランス ユナイテッドアローズ
「はい、若様」
正気に返った|(のだろう)澪が魔力の流れを視る。一目で大体を”掴んだ”ようだ。本能のなせる業だろうが大したものだ。
収束しつつある魔力に属性が加わり術となろうとする直前。
練られた魔力が四散した。
「!?」
森鬼Bは何が起こったかわからない表情をしている。それはそうだろう。こんな真似おそらく曲芸の領域。話を聞いた僕も練習しているが、とてもまだ使えた物ではない。使ってくる術を知ってれば成功できる、ってレベル。
闇属性は魔力を食うのだ。しかも、ごく限られた条件下においてのみ非常に効率的に。
編み終えられた完成した魔術には極めて効率の悪い食い方しか出来ない。消滅させるなら数倍の魔力が必要になるだろう。だから実用的とはいえず純粋にその用途で使う者はいない。…澪はやってたけど。
だが詠唱中の魔力に対しては逆なのだ。相手が詠唱している際効果範囲に現れる魔力ではなく、詠唱者本人の傍に在る源になる魔力。大抵は触媒になる杖や指先に集まるソレに対しては闇は非常に効率的に食らうことが出来る。
もし、発動前に発動起点になる杖や指先、手の掌に集まった魔力を食われたらどうなるか。
答えは簡単、術の発動そのものがキャンセルされる。しかも食われた魔力は術者に還元するわけもないので魔力の消費はある。
つまり、カウンターマジックが成立することになる。他全ての属性に対して。
だが準備段階で効果範囲に現れる魔力から術の構成を先読みしてかつ、相手の詠
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