トントン(肩を叩く音)
「火星へ来ませんか?」
大学の夏休みも一ヶ月くらい経った頃、俺は卒業単位を稼ぐため、学校で夏期講習を受けていた。
教室は120人ほど入る階段教室。1番後ろの列は車椅子専用の列になっている。俺はその車椅子専用の列の、一つ下の通路側に座って講義を受けていた。
大体、講義の2コマが終わり、3コマ目が始まった頃だっただろうか、その時が来た。
トントン(肩を叩く音)
右肩を軽く叩かれた。
スマホをいじる手を止め、後ろを静かに振り返る。
茶色い髪の爽やかそうな少年がいた。
笑顔だ。
赤色のチェックのシャツに首には銀色の大きなネックレス。
俺より1つか2つ下に見える。
俺が振り返るなり、その少年は手を俺の肩においたまま、顔を少し近づけ、こう言った
「火星へ来ませんか?」
これが、俺とこいつの出会いだった。
時は重なる、人もまた、そして運命も、また、、
