出産前、母性病棟での入院は個室を希望すると伝えてありました。

 

産む子は、きっとダウン症候群。

 

NICUで過ごす確率も高い。

 

母子同室になったらなったで、出産後のホルモンバランス大荒れの中、

 

大部屋で、障害のある子が手元にいて、

 

周りに聞こえないように、しくしく泣くのは嫌だと思ったからです。

 

ダウン症候群の子を産んで、わが子を胸にした時、どんな感情になるのか、

 

想像がつきませんでした。

 

個室で、静かに過ごしたいと思っていたのです。

 

第一子を出産した時(#27)、

 

ムスメが3日間閉鎖型保育器に入っており、

 

その時自分の考えとは裏腹に、涙が止まらなくなり、

 

看護師さんにしがみついて泣いていた、

 

あの経験も非常に大きかったです。

 

 

 

 

 

しかし、残念ながら、個室は空いていませんでした。

 

仕方なし。

 

 

4人部屋でした。

 

でも、誰も母子同室の人はいませんでした。

 

間違いなく、病院側のご配慮だと思います。

 

母子同室の人もいましたが、別の部屋でまとまっている感じでした。

 

 

3次救急の病院だけあって、何かしらの事情を抱えた方が多かったのだと思います。

 

また、お腹の大きな方もいました。MFICUもありましたが、

 

母性病棟にも何人もいらっしゃいました。

 

 

 

 

3時間ごとの搾乳が始まりました。

 

母乳は出産すれば自動的に出るわけではありません。

 

助産師さんに助けてもらいながら、初めは0.3mLしか出ませんでした。

 

この病院では、その0.3mLを、シリンジで吸い取り、それを

 

子どもに与えてくれます。

 

(第1子の時は、哺乳瓶の乳首に取れない量だったら、

 

 ガーゼで拭いて終わりでした。)

 

 

300μLなんて…と思う方もいるかもしれません。

 

でも、その量を取るのに、とても努力が必要です。

 

(綿棒に浸して、唇につける、ということもしてくださるそうです。)

 

頑張って頑張って取った300μLの母乳を届けてくれようとする、

 

そして実際に子供に届けてくれる体制が、本当に嬉しく思ったことを

 

昨日のことのように思い出します。

 

 

 

 

3時間ごとの搾乳なので、夜中でも搾乳です。

 

夜勤の助産師さんが常についてくださり、サポートしてくださいました。

 

神奈川県立こども医療センターの母性病棟には搾乳室がありました。

 

他のお母さんとお話しすることは1度か2度しかありませんでしたが、

 

心の中で、一緒に頑張ろうね!と思っていました。

 

 

 

 

 

出産翌日。

 

NICUに行ってみると、ムスコはすやすや寝ています。

 

SPO2(血中酸素)がフラフラ~っと落ちては自力で戻る(50くらいに落ちてしまう)

 

というのを繰り返していました。

 

寝入っていると、うっかり呼吸を忘れてしまうようです。

 

 

 

すやすやなムスコを眺めていると、

 

『今日から担当が変わりました。』と、お医者さん。

 

どういうこと?!と驚きましたが、出産後に改めて患者を振り分け直すのでしょうね。

 

30代かな?と思われる女性のお医者さん(子育て中!)が担当になりました。

 

説明では、

 

・とても元気で、状態が良い。

 

・寝入ると呼吸を忘れてSPO2が50ほどに落ちてしまうので

 

 高圧酸素が必要な状態(肺高血圧)。

 

・ミルクは経口でいけるか試してみようと思っている。

 

・動脈管開存があるが、軽微である。

 

・肺高血圧症、動脈管開存症ともに、時間が経てば自然治癒しそうなので心配ない。

 

 改善するまでの間はNICUで観察が必要。

 

とのこと。

 

出産前に心配していた状態より、遥かに良さそうで、安心しました。

 

※(新生児における)肺高血圧症とは、本当は誕生時にオギャーと泣くことで

 

 おなかの中にいた時は折りたたまれていた肺が開いて呼吸できるようになるが、

 

 肺が開ききっていない状況のことだそうです。

 

 ムスコの場合は時間経過とともに改善するとの説明でした。

 

 

 

 

 

コットを覗くと、ムスコの両足の人差し指が、

 

関節から先が内側に曲がっています。

 

すごく気になりました。

 

主治医に聞いてみると、

 

『問題ないですよ。大きくなって、歩行に支障が出るなど問題が出たら、

 

 整形外科につなぎます。でも、その必要もないと思いますよ。』

 

とのこと。

 

 

子どもが生まれると、手がついているか、足があるか、

 

指はそろっているか、などを真っ先に気にして目が行ってしまいました。

 

そんなこと、命の危機があるかどうかの状態に比べて、小さなこと。

 

パラリンピックで、それを目の当たりにしていたのに、

 

そんなことを気にしてしまっていた自分の小ささを、恥ずかしく思いました。

 

 

 

ほとんど起きないから寝顔しかわからないけど、

 

確かに目は釣り目に感じました。

 

猿線も無し、耳も折れていないし、鼻も高い。

 

だっこした感じがグニャグニャ…らしいけど、

 

確かに男の子特有の硬い感じはなかったけれど、

 

第1子の女の子と同じ感じでした。

 

釣り目以外は、ダウン症候群ぽさは、あまり感じませんでした。

 

そんなことを考えながら、

 

75%は生まれてこられないというダウン症候群なのに、

 

よくこうして生きて産まれてくれたな…と浸ってみたり、

 

かわいらしさを感じてみたり、していました。

 

 

 

 

しばらくすると、『遺伝科』のお医者さん4人と遺伝カウンセラーの看護師さんが

 

ムスコを診察しに来てくれました。

 

『この度はご出産おめでとうございます!!わーーー!かっわいい~~~💛』

 

と、遺伝カウンセリングでお世話になったカウンセラーさん。

 

 

・・・またも、ムスコはカワイイ!!と言ってもらっています。

 

このころから、ウーム、本当にこの子は赤ちゃんとして、

 

等しく可愛いのかもしれない…

 

と思えるように、心が素直になる第一歩を踏み出したような気がします。

 

本当に出産して大丈夫なのか、不安でカウンセリングをお願いしてから半年。

 

妊婦検診にも顔を出してくださったり、出産まで覚えていてくださったことにも

 

驚きました。もっともっと状況的に厳しい赤ちゃんがたくさんいるのに。。

 

本当に嬉しかったです。

 

病院のスタッフの皆さんの温かさが、確実に私の心を前向きにしてくれました。