今日は父と、今年初めて一緒に海に出ました。

晴れていて気持ちいい風。
楽しんでいたら濃い霧に包まれて冬のように寒くなってしまい、不思議な景色を体験しました。



わたしがバラバラの状態をなんとかしたい、治りたいと思ったきっかけの本では、海じゃなくて湖の上での会話が描かれていました。
何にも邪魔されない場所で、風にあたりながらの会話って、普段とはちょっと違う感じがします。

小さい頃、父と行動する事が多かったわたしにとって、大人になってから良い関係が続いていて仲良くできるのは、とっても嬉しい事です。
初めて解離をした時に、もし死を知っていたら。。。わたしは今、居ないと思う。
避けられない事態をどうにかしようと解離した。生きる本能だけで、素直に。
言葉をしっかりと理解できるような歳じゃなかったから、その時はわからなかったけれど、今ならわかる。
何が起きたのかを語れるようになったら、自分の中で少し整理できた。
良い悪いは別として、事実を受け入れる準備ができたってこと。

わたしは大人になってから、記憶の繋がりがないことを知った。
記憶を途切れさせたり分けたりすることで生きていくのは難しいと解った。
無意識だから、意識できない。

意識できるようにトレーニング。。。
止まっている時間を進めて、過去を過去として認識するため。
実際にしたことは、当たり前すぎる事だった。

ねぇ? わたしが解離できていなかったらどうなってたかな?

  ん~生きてたかな? 生きてても外に出られなかったかもね。

DIDで大変よりも嫌だね。。。

  良かったんだよ。今ひとりになれたんだから。

わたし、ひとりです。



生きたいから解離した。自分を苦しめたいからじゃない。悪い事をしたわけじゃない。
解離する以外にも方法は、いっぱいあるのに知らなかっただけ。

だから、大きくなってから苦しいことがあっても解離しないで居られるように、ひとりでいられるように。。。
向き合える力をつけなきゃ。
解離したと思っている自分も、解離をしている時の自分も、同じ自分なんだから。

DIDだったんだ、ってわかったら、もう人格を作りだす必要もない。
無意識なんだけど、自分がしていること。
作り出さないっていうことも、できるはず。ひとりに戻る事だってできるはず。



わたしにとってDIDになったのは良かったコト。
ベストな選択ではないけれど、生きてるから。
生きるって道をえらんだ自分が、すごいって思える。

DIDを治して、ひとりになるっていう決心ができたのも良かったコト。
融合するまでの過程の大変さよりも、解離するきっかけとなった過去(当時)の方が苦しくて辛かった。
その時よりも確実に成長しているし、絶対に耐えられる。


わたし、ひとりです。

が、まだ口癖です。




って意味をわたしが理解したとき、何歳だったかな?

8歳になる頃、祖父がわたしの住んでいる土地の病院へ入院した。
夏休みと冬休みにしか会うことが無かった祖父が、すぐに会える場所に来たから嬉しかった。
吹雪の中、何度かお見舞いに行ったのを覚えてる。
帰るとき、おこづかいをもらい売店に寄った。でも、シャッターが閉まっていてお菓子を買えなかった。
前に置いてあったカプセルに100円を入れて、ガチャガチャ。。。
桜色のハートがついている金色の指輪が出てきた。お気に入りBOXに大切にしまっておいた。

春休みになった頃、祖父が地元の病院に帰ったと教えられた。
病院の前のポプラ並木は葉をつける前だった。
また会えるよ。 遊びに行こうね。
そう言っていた親の顔、その時の景色、とても鮮明に思い出せる。

2カ月後、学校から帰ると祖父のところに行くよ。と言われた。
今度の日曜日、運動会だよ? 初めて午後のプログラムに出られるんだよ?
どうして今いくのかわからないまま、車で5時間。。。
夜に着いた祖父母の家は建ててから1年も経っておらず、まだ新築の匂いがしていた。

次の日のお昼に、祖父の病室へ行った。
話しかけても、返事がない。目の色がちょっと違う。目が開いているのにこっちを向いてくれない。
おじいちゃん、元気になる?  うん、いっぱい話しかけてあげてね。
おじいちゃ~ん、元気になってね!

いとこや親戚も来ていたから、運動会なんて忘れて楽しく遊んだ。
その夜、子供たちだけで遊んでいるところに、親たちが来て言った。
おじいちゃん、死んじゃったんだ。
え?? なんて?
しばらくみんなで黙ってた。ちょっと整理がついた。
なんで~!!って、泣き叫んだ。
わたしより小さい子たちは、意味がわからないようだった。



身近な人の死を知った。
大人たちは集まる時には、すでに喪服を用意していた。
死んじゃうってわかってたんだね。
一通りの葬儀を経験したのも初めてだった。
人が人じゃなくなるのが怖かった。



このときのわたしは、バラバラだった。すでに複数の人格がいた。
人格のひとりが持っていた記憶。
10年以上、祖父の記憶も、この瞬間も思い出すことが無かった。
写真の中だけだった祖父が、わたしの中に入ってきてくれた気がする。