聖ジェンマ・ガルガーニ
ジェンマ・ウンベルタ・マリア・ガルガーニ(1878年3月12日-1903年4月11日)は、当時のイタリア王国の女性で神秘家であり、カトリック教会の聖人。イエス・キリストの受難を体験したとされ、この事から「受難の娘」と呼ばれる。祝日(記念日)は4月11日。
敬虔なキリスト教徒として育ったジェンマは御受難会の修道女になる事を願ったが健康上の理由などで実現しなかった。1862年に脊髄膜炎にかかり、聖人として評判が高まった御受難会の修道士、悲しみの聖母の聖ガブリエル・ポッセンティなどの取次ぎを願い、奇跡的に回復した。以後、ジェンマは両手と両足に聖痕が現れるといった神秘体験を経験し、その行動は彼女の聴罪司祭らによって慎重に調査された。然し彼女は興奮する事なくそれに耐えた。1903年4月11日に死去。カトリック教会はその聖徳性を認め、1933年にローマ教皇ピウス11世によって列福され、1940年に同じくローマ教皇のピウス12世により列聖された。
幼少期
1878年3月12日、当時のイタリア王国・カパンノリ地方にあるカリミアーノの村落に生まれる。父親のエンリーコ・ガルガーニは裕福な薬剤師で、ジェンマはその8子の5人目として出生した。ジェンマが生まれてすぐ、父親のエンリーコは子供たちの教育環境を向上させる為、北のトスカーナ州ルッカに移り住んだ。2歳半の頃に母親のアウレリア・ガルガーニが結核を患った為、ジェンマはエレーナ・ベリーニとエルシリア・ベリーニが経営する私立保育園に預けられる。ジェンマは当時からとても高い知能を持った子供だと見なされていた。ジェンマは幼少期の内に兄弟の長子カルロや妹のジュリアを亡くし、更に5歳になった1885年9月17日には母親のアウレリアも結核で喪った。またジェンマが慕っていた兄のジノも、司祭になる事を目指して勉学に励んでいた最中、母親と同じ結核で死別している。
教育
ジェンマは聖ジタ修道女会が経営する半寄宿型のカトリック学校に入学した。ジェンマはフランス語や算数、音楽に長けていた。ジェンマは9歳で初めての聖体拝領を済ませている。ジェンマは修道会である御受難会の修道女になる事を希望したが、身体が病弱であった事、及びジェンマが幻視(ヴィジョン)を視る様になった事が影響し、この修道会から受け入れを断られている。20歳になったジェンマは脊髄膜炎を患ったが、奇跡的に回復した。この脊髄膜炎から驚異的に治癒した事は、ジェンマが悲しみの聖母の聖ガブリエル(ガブリエル・ポセンティ)と聖マルグリット・マリー・アラコクに、イエス・キリストの聖心への「執成しの祈り」をした為とされている。ジェンマは18歳を過ぎた直後に父親を亡くした。この時、既に母親は亡くなっていた為、自分の弟や妹に責任をもって躾をする立場となった。自分が一家の責任者となった事から、伯母のカロリーナと共に家族を養う事となった。この時期にジェンマは、2人の男性から求婚されていた。然しジェンマは2つの縁談を断り、ジャンニーニ家の家政婦になった。
神秘主義
ジェンマの霊的指導者で彼女の伝記を書いた尊者ゲルマーノ・ルオッポロによると、1899年6月8日、ジェンマが21歳の時、彼女の体に聖痕が現れ始めた。なお、ジェンマは自分の守護天使、イエス・キリスト、聖母マリア、そして諸聖人たち、その中でも、聖母の悲しみの聖ガブリエルとよく話をするのだとはっきり述べている。ジェンマが公にした信仰体験の証言集によると、彼女は、よく話をするそれらの存在から、現在や未来の出来事について、特別なメッセージを時々受けたとされる。ジェンマの健康状態が悪化するにつれ、ルオッポロ師はジェンマに対し、自分の聖痕が消えます様にと祈るよう指導した。ジェンマがこれに従うと、聖痕は消えていった。ジェンマは、悪魔の攻撃に抵抗する事がしばしばあった、と語っている。ジェンマはしばしば恍惚状態(エクスタシー)にあるのを目撃されていた。また空中浮遊していた事もあると言われており、ジェンマ自身も少なくとも一度は自分がキリストの十字架像を抱きしめる様にしながら床から浮き上がったのを感じた事があるという。普段十字架像は家のダイニングルームに飾られており、家族はその像のキリストが傷を受けたとされる箇所に、口づけをして崇拝していた。
聖痕
1899年6月8日、聖心の祝日に聖痕を受けたとされ、ジェンマはこの事を次の様に書き記している。
「私は自分の罪に内なる悲しみを抱いた。それは余りに強烈で、それと似た様な物は二度と感じた事はなかった。私は自分の意思で、自分の罪を全て忌み嫌う様にし、その罪の報いとして、全ての物に喜んで苦しむと約束した。すると、悲しみ・愛・恐れ・希望と癒しという思考たちが雲の様に私を厚く取り囲んだ。」
その後にジェンマは聖母マリアに伴われて、有頂天になり、聖痕を受けた後に自分の守護天使を見た。
「聖母マリアがマントを広げ、私を包み込んだ。その瞬間、イエス・キリストが現れた。彼は十字架に掛けられた時の傷口が全て開いていたが、その傷口から血は滲み出ていなかった。だが一瞬の内に炎が現れて、私の両手の掌、両足、心臓の部分に触れた。私は死んで、きっとそこから落ちてしまったのだろうと感じたが、聖母マリアが私を支え、そして聖母のマントで私を包みこんでいてくれた。私はこの様にして、数時間そのままでいた。すると聖母が私の額に口づけをし、このヴィジョン(幻視)は消えて、私は自分が跪いているのに気が付いた。然し私は自分の両方の手の掌と足、心臓の所に鋭い痛みを未だに感じていた。ベッドに入ろうと立ち上がると、痛みの残る場所から血が滲み出ているのが見えた。ベッドから出ようとすると自分が痛みを感じた箇所から血が出てているのを見た。私はできる限り急いでその傷を隠すと、守護天使の助けを受けながらベッドに入った。」
ジェンマへの評価
家族と一般大衆
ジェンマは生前からルッカの周辺で、特に貧しい人々の間でよく知られた存在だった。ジェンマに対する評価は分かれており、彼女の卓越した美徳を称賛したり、崇敬や称賛とは切り離して「ルッカの乙女」と呼ぶ人々がいた一方、否定的な立場を表す人々もあり、妹のアンジェリーナはジェンマが霊的な経験をしている間に彼女をからかった。また妹のアンジェリーナも、ジェンマの名声を利用して利益を得ようとしているとの告発があり、ジェンマが列聖される過程において証言する事は「不適切」だと見なされた。ジェンマの人生で起こった驚異的な出来事を考えてみると、ジェンマは精神的に病んでいたと考える懐疑論者もいた。
カトリック教会
ジェンマは一般大衆からのみならず、カトリック教会の一部の聖職者からも度々軽蔑的な扱いを受けており、ジェンマの聴罪を担当していた司祭ですらジェンマが受けたという奇跡については懐疑的だった。ジェンマを霊的に導いていた尊者のゲルマーノ・ルオッポロ師は、当初こそジェンマの身に起こった出来事について自身の立場を留保していたものの、彼女に起こっている自然現象を慎重かつ徹底的に調査していく内に、ジェンマの神秘的な人生が偽りのない物である事を確信する様になった。ジェンマの死後、ルオッポ師は彼女の詳細な伝記を書き、ジェンマの日記、自伝、手紙など彼女が書き遺したもの全てを責任を持って取り集めた
死去
1903年の初頭に肺結核と診断されて以降、なかなか回復せず、また頻繁に痛みを伴う病に苦しめられる事となる。然しその間も神秘体験を経験していたとされ、ジェンマの看護に当っていた看護修道女によれば「沢山の病人の手当てをしてきたが、こんな経験は初めて」だったという。1903年の聖週間が始まると容体が急激に悪化、聖金曜日まで猛烈に苦しんだ後、1903年4月11日の聖土曜日、かつてジェンマが家政婦をしていたジアニーニ家の斜め向かいにある小さな部屋で死去した。カトリック教会によるジェンマの生涯の調査を経て、ジェンマは1933年5月14日に列福され、更に1940年5月2日に列聖された。ジェンマの遺体はイタリアの御受難会修道院に安置されている。列聖までの期間の短さはカトリック教会においても異例であった。聖ジェンマ・ガルニーニは御受難会修道者で最もよく知られる聖人の1人として、主にイタリアやラテンアメリカ諸国で崇敬されている。ジェンマは学生時代学級でトップの成績だったと言われており、学生や薬剤師の守護聖人とされている。
＜聖ジェンマに倣う祈り＞
「ああ天主、御身の下僕なる聖ジェンマの取次ぎによりて、我らが御身の愛し給う御子の御受難を求むる為に彼女に倣いて、イエズスの十字架の磔が我ら自身の物となり、その内に成長せん事を。」
＜聖ジェンマ童貞に聖寵を求むる祈り＞
「ああいとも栄光に満てし聖ジェンマ、潔白と償いの鑑よ、御身の天の執成しに、へりくだりて願い奉る。わが全ての思い、言葉、行ないにおけし純潔の聖寵を、御身によりて得させ給え。アーメン。」
＜祈願Ⅲ＞
「ああ聖なるジェンマ、貴女はイエズスの御受難の全ての痛みを、貴女の御身体において御苦しみになられました。私は貴女にイエズスの御受難と聖マリアの御苦しみを黙想し、それによって生きる為の恵みを貴女に懇願致します。私が謙遜、単純さ、愛、そして犠牲の道を歩む事が出来ます様、いかなる時、いかなる方法においても神の聖なる御旨を果たす事が出来ます様にお祈り下さい。全く永遠なる者に向かい、貴女と聖母マリア、イエズスと一致して生きさせて下さい。」
＜祈願Ⅳ＞
「いとも力強き天主、御身は聖ジェンマ・ガルガニ童貞を、御身の十字架に磔にせられし御子の生ける御姿となし給えば、彼女の祈りによりて我らがキリストと共に苦しみ、かくして彼の栄光を共有し奉らん事を。唯一の天主、御身と聖霊と共に生き、かつしろしめし給う主が為に。アーメン。」
＜聖ジェンマ・ガルガニ童貞のチャプレット＞（再掲載）
このチャプレットは、聖女のメダイと二つの小珠、環状部分は中心のメダイと一連が一つの大珠と五個の小珠からなる4連によって構成されています。
始めに（メダイで）祈ります。
「ああいとも栄光に満てし聖ジェンマ、潔白と償いの鑑よ、御身の天の執成しに、へりくだりて願い奉る。わが全ての思い、言葉、行ないにおけし純潔の聖寵を、御身によりて得させ給え。アーメン。」
続いて（二つの小珠で）聖女の祈りを唱えます。
「わが霊魂よ、イエズスを祝し奉れ。彼が汝に与えし数多の聖寵を決して忘るるな。汝を愛し給う御者、天主を愛し奉れ。汝の為に御自らを下し給いし彼に、汝自身を上げよ。汝に御自らを示し給いし彼が如く、汝自らを示し奉れ。心を浄め、潔白ならしめよ。数多の惨めさより汝を救い給いしイエズスを愛し奉れ。汝の天主を愛し奉り、汝の主を祝し奉れ。」
中心のメダイで次の様に祈ります。
「いとも親愛なる聖ジェンマ、キリストの妹にして友よ、御身は苦難の価値と癒しの祝福を存じ給えれば、主が（我、わが家族、我らなど）の肉身、心理、精神の病を癒し給わん事を祈り給え。我らの主イエズス・キリストによりて。アーメン。」
各小珠において次の祈りを唱えます。
「イエズス、我を御身の下に進ませ給え。我御身の生命を与えし御血に渇きたればなり。」
各大珠で次の様に祈ります。
「例え我地獄の門の開きしを見んとも、我奈落の淵に瀕して立とうとも、我望みを絶たず慈悲の望みを失わする事なからじ。わが天主よ、我御身に信頼し奉ればなり。」
このチャプレットの締め括りに祈ります。
「ああいとも栄光に満てし聖ジェンマ、潔白と償いの鑑よ、御身の天の執成しに、へりくだりて願い奉る。わが全ての思い、言葉、行ないにおけし純潔の聖寵を、御身によりて得させ給え。アーメン。」
出典元・信心の園、Wikipedia
おはようございます。昨日は「聖ジェンマ・ガルガーニのチャプレット」専用ロザリオをリメイクしました。写真右側がリメイク後です。だけど、このリメイクは失敗に終わりました。と言うのも、ビーズキャップ(座金)が足りなくなって、一部だけ、別の座金を着けた為です。と言う事で、「聖ジェンマ・ガルガーニのチャプレット」専用ロザリオは、後日、修理予定です。
