慢性的な睡眠不足によって、脳は「自己破壊」する | 健康管理・増進、病気予防、抗加齢(若返り)、長寿、豊かさを探求

慢性的な睡眠不足によって、脳は「自己破壊」する

マウスを使った研究によれば、慢性的な睡眠不足が脳内の食作用を担う細胞を活性化させ、シナプス分解・脳細胞の自己破壊を促進させるという研究結果が発表されました。

 

 

最近話題の「睡眠負債」は借金と同じで、蓄積されていくとやがて返済不能になり、仕事のミスが増えるなどが過ぎてしまうと、睡眠負債は免疫細胞や代謝の仕組みを機能停止にしてしまい、ガンや認知症を引き起こすと言われています。

睡眠負債が返済されれば、仕事のパフォーマンスは劇的に向上することがわかっていますので、睡眠時間を増やす生活再設計が求められています。

日本人だけがやっている睡眠を犠牲にしてまで働くことの意識改革は、私は30年前にやりましたので、やればできると思います。

 

 

OECDの国際比較調査で日本人の睡眠時間が加盟国中でもっとも短く、最新の厚労省調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合が4割に達しているそうで、生産性の低さにも表れているようですが、睡眠改善は難しくありません。

 

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日本大学医学部が2012年に<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201611290000/">「日中の眠気」による国内の経済損失は、年間3兆5000億円、医療費を含むと全体で5兆円程の大きな経済損失という研究結果を発表</a>し、一大センセーショナルとなりました。、

さらに最近の米国のシンクタンク「ランド研究所」の調査研究によると、<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201701080000/">日本人の睡眠不足を原因とした国家レベルの経済的損失は、国民総生産(GDP)の約3%、約16兆円に達し、このGDP比は調査対象5か国の中でも最大である</a>ことが分かりました。

 

<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201609080000/">睡眠不足は酔っ払っているのと同じくらい生産性が下がる</a>と指摘されていますが、睡眠時間の短い中高年ほど脳の老化が速いことが分かったそうです。

 

 

睡眠中はノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)が交互にくり返され、入眠直後から3時間までの間に最も深いノンレム睡眠が訪れ、脳の疲労をとることができるといわれているそうです。その次に体の疲労がとれ、最後に心の疲労がとれる、というように、睡眠のフェーズごとにとれる疲労が違うのではないかという仮説もあり、睡眠時間が短くなると、その分、とれない疲労が残ることになるわけです。

 

 

2015年の大規模睡眠調査によると、睡眠は何よりも重要だと87%が思っているのに、睡眠に不満を感じていないのはたった17%、しかも睡眠に不満を感じて睡眠改善のために行動を起こしている人の割合はたった25%で、全体の57%の人は、睡眠を改善できるかもしれない行動を起こしていないことがわかりました。

 

 

様々な統計結果や医学的根拠から、人間の最適な睡眠時間は7時間程度で、長くても短くてもよくないそうです。この睡眠時間は1日の活動時間の3分の1程度になり、時間にこだわるだけではなく、質を高くすることが大切だと指摘されています。

普段から生活リズムを整えて、日によって睡眠時間に差がないように、質の良い適度な睡眠時間を確保したいものです。

 

 

不眠症に悩む人も年々増加しています。

不眠症の原因には、通常疲れたり、寝不足になると必要な睡眠を得ようとする機能が適切に働かない「恒常性異常」、覚醒状態から睡眠状態に移行する体内時計のリズムが崩れる「リズム異常」などがあります。

最近注目されているのが覚醒システムの不具合で、覚醒を維持するオレキシンという脳内物質が過剰に働きシャットダウンしないことが近年の研究で解明されたそうです。

 

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私達には体内時計があります。主時計は目から入った光の情報を受け取り、メラトニンを分泌する脳にある松果体へ信号を送る部分です。

さらに体内時計をコントロールする時計遺伝子が発見され、この時計遺伝子は脳の視交叉上核だけでなく、心臓、肝臓、肺、筋肉、皮膚などあらゆる細胞に存在しており、脳の主時計に対して末梢時計と呼ばれています。

最近では細胞だけでなく、約100兆個の腸内細菌までもが、体内時計の末梢時計であることが分かり、腸内フローラが良い状態であることがよい眠りにも大切だそうで、腸内フローラ改善変化はすぐ睡眠に好影響を与えるようです。

 

 

睡眠には謎が多く、睡眠中は脳も休んでいると考えられていましたが、起きている間より寝ている間の方が脳は忙しく重要な活動を行っていることがわかってきたそうで、改めて睡眠の重要性がわかりました。

 

睡眠中の脳の4つの役割

1.有害な毒素を排出する

2.起きている間に得た情報を復習し、記憶させる。

3.バラバラに入ってきた情報をまとめ、整理する。

4.免疫力を高める。

 

 

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厚生労働省調査では、日本人の5人に1人が不眠に悩んでいるそうですが、2014年11月6日に発表された民間会社の全国20~79歳の男女7,827人の実態調査によると、国際基準「アテネ不眠尺度」で、約4割が「不眠症の疑いがある」、約2割は「不眠症の疑いが少しある」と判定されています。また、睡眠と寝起きに関する実態調査委員会の調査では、寝起きがだるい:48.1%、寝起きの目覚めが悪い:9割を超えています。

 

<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201505250000/">睡眠障害による国内の経済損失は3.5兆円</a>にもなり、睡眠障害が引き起こす健康被害の損失は含まれていないので、これを加えたらさらに巨大な損失になるそうです。 

 

睡眠の生活パターンで一番よいのは、早寝早起き型で、週末の朝寝坊は時差ボケという意外な落とし穴を生むので、平日との差は1時間以内までがよいそうです。

体内時計は24時間よりも少し長めなので、このズレを修正してくれるのが、朝に浴びる太陽光と起床後1時間以内の朝食だそうです。

 

<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201506200000/">睡眠コーチとして活躍されている雨晴クリニック副院長の坪田聡先生は、「10分の2度寝」と「20分の昼寝」が仕事の効率をグイッと上げると提唱</a>されています。

 

不眠症患者の半分は、最低6時間の通常の睡眠時間を取っているが、不眠症患者の42%は、睡眠時間を1時間以上少なく見積もっていたり、眠っていたのに起きていたと勘違いすることがあるそうです。

不眠症は睡眠が少なすぎるのではなく、脳の動きが活発すぎると研究者は指摘しています。

 

 

日本人は、睡眠の不満は多く、最新の調査では<a href="http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/diary/201502120000/">半数以上が睡眠に不満、約9割が快眠のために現状改善を希望</a>しているそうで、日本人のガンが減らない一因だと思います。

 

 

****************************<B>【以下転載】</B>****************************

 

慢性的な睡眠不足が、脳内の「食作用」を担う細胞を活性化させ、シナプスの分解を促進させる、という研究結果が発表された。さらに睡眠不足は、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き起こすリスクも高くする可能性があるという。

 

何日も眠らない日が続くと、次第に考えがまとまらなくなり、まったく仕事や勉強ができなくなる──。そんな経験を、あなたもしたことがあるかもしれない。睡眠不足が続くと、気力も体力も思考能力も著しく低下してしまうのを実感するが、さらに恐ろしいことが脳内で引き起こされていることが、マウスを使った研究により確認された。一言でいうと、それは「脳細胞の自己破壊」だ。

 

 

<B>脳内の「食作用」を調べよ</B>

 

イタリアのマルケ工科大学、臨床・実験医学科のミケーレ・ベレッシ博士が『Journal of Neuroscience』で発表した研究では、慢性的な睡眠不足が引き起こす物理的な脳へのダメージが、細胞レヴェルで説明されている。ここで研究者らが着目したのは、主に脳の清掃や管理を行っているグリア細胞による「ファゴサイトーシス」(食作用)である。

 

食作用とは、生体にとって異物と認識される病原微生物や死んだ細胞などを取り込む役割のことであり、体内(組織内、血液内など)ではマクロファージや単球などが担っている。脳内では、グリア細胞であるアストロサイトとミクログリアが食作用と似た働きをすることがわかっていた。

 

ミクログリアは周囲の環境を管理しており、徘徊しながらニューロンの活動をモニターしたり、古くなったり死んだ細胞を食作用によって取り込んだりする。アストロサイトは、不要になったシナプス(ニューロンの接合部分)の剪定、残骸の除去、または接続回路の再形成を行う。

 

これら一連の作業は主に眠っている間に行われると思われていたが、ベレッシの以前の研究では、眠っているときよりも一時的な睡眠不足のときのほうが、アストロサイト遺伝子が活性化することが確かめられていた。だが脳内環境の乱れや炎症反応によっても活性化するミクログリアが、睡眠不足によっても活性化されるのかどうかは不明のままだった。

 

今回の実験では、これらアストロサイトとミクログリアの特性が、さまざまな睡眠/覚醒のパターンでどのような働きをするのかをマウスの脳で調査したものだ。そこで研究チームは、マウスを4つのグループに分けて実験を行った。各グループはマウス6~8匹で構成された。

 

1安眠グループ:6~7時間きちんと眠っていたグループ

2安眠妨害グループ:眠っている間に何度か起こされ安眠を妨害されたグループ

3睡眠不足グループ:通常よりも8時間以上起きていたグループ

4慢性的睡眠不足グループ:刺激を与えられ4日半起こされていたグループ

 

 

<B>睡眠不足で「シナプスが食われる」</B>

 

マウスの脳におけるアストロサイトの活動は、これら4つのグループで大きく異なっていた。実験の結果、安眠グループのアストロサイト活性が5.7パーセントだったのに対し、安眠妨害グループは7.3パーセント、睡眠不足グループは8.4パーセント、慢性的睡眠不足グループは13.5パーセントと、睡眠が不足するにつれてアストロサイトがより活動的になっていることがわかった。これは寝不足が引き金となってアストロサイトを活性化させ、シナプスの接続やそれらの残骸をより多く分解してしまうことを示唆しているという。

 

実際に、慢性的睡眠不足グループのマウスのシナプスを調べてみると、よく使われる「ハブ」となっている成熟したシナプスほどアストロサイトの標的となっており、より多くの分解が行われていることがわかった。

 

覚醒時間の延長に伴い、脳神経活動により蓄積された分子的副産物もまた増加する。研究者らは、アストロサイトの清掃管理機能(もとい食作用)が、より使用頻度の高いシナプスに対応した結果なのではないかと推測している。つまり寝不足が続くと、脳神経同士を繋いでいるシナプスの一部が、アストロサイトに文字通り食われてしまうのである。

 

さらに研究チームは、ミクログリアも慢性的睡眠不足により活性化することも確認した。睡眠不足グループではみられなかったシナプス構成要素に対する食作用が、慢性的睡眠不足グループでは増加していたのだ。しかし慢性睡眠不足による炎症の増加とミクログリア活性化の関連はみられず、研究者らは慢性的睡眠不足で誘発された別の要因がミクログリアを活性化させたのではないかと推測している。

 

過度のミクログリア活性は、アルツハイマー病などの脳神経障害と関連していることが明らかになっており、「こちらの発見のほうが深刻だ」と、論文筆頭者であるベレッシはリリースにてコメントしている。

 

 

<B>睡眠不足と神経変性疾患</B>

 

現在、世界各国では多くの人々が慢性的睡眠不足にある。スマートフォンのアプリ『ENTRAIN』の睡眠サイクル調査では、日本の平均睡眠時間はほかの国々と比べても最下位のレヴェルだった。また、ウェアラブルデヴァイスメーカーのJawboneが行った睡眠時間調査でも、日本人ユーザーの睡眠時間は平均6時間15分と最も短かった。

 

これまでの数々の研究では、睡眠不足とアルツハイマーなどの神経変性疾患の高い相関関係が確認されており、睡眠不足で蓄積されるタンパク質の種類もいくつか挙げられている。睡眠のクオリティ向上が神経変性疾患の予防につながるかは定かではないが、慢性的睡眠不足は疾患に関連するタンパク質の増加要因にはなっているのだ。

 

ベレッシ率いる研究チームはこれから、寝不足によるアストロサイトとミクログリアの影響がどれほどの期間続くのかを調査する予定だという。

 

(出典:WIRED)