麻酔医が足りない!
小児科医不足と同様に麻酔医の不足が深刻だそうです。
先進国の人口比医師数から割り出した医師数38万人で現状は26万人で医師の総数が足りない。
医療費は先進国で最も少なく、税金が他に回り過ぎているのです。
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全国の病院で麻酔科医の不足が深刻化し、手術が予定通り実施できないなどの影響が出ている。
◆激務と志望減、悪循環が背景に…全国で深刻化し手術減少病院も
がん治療の“総本山”国立がんセンター中央病院(東京・築地)では手術業務の縮小を余儀なくされ、昨年の手術件数が前年より減少した。同様の悩みを抱える病院は多く、「麻酔科医不足で手術の安全性が脅かされている」との懸念もある。
国立がんセンター中央病院では昨年8月から3か月間に、麻酔科医8人のうち3人が「不規則な勤務で身体的にきつい」などの理由で次々に辞めた。手術中に患者の呼吸管理などを行う麻酔科医は不可欠で、短期で麻酔科医2人を雇うなどしたが、昨年12月から手術の延期や他病院へ手術の要請をせざるを得なくなった。全身麻酔による手術件数は、病院が全面改築された1999年以来、毎年平均250件増えてきたが、昨年は4049件と前年比で97件減り、初めて減少した。
このため、病院では外科医に実技と講義による麻酔の訓練を実施。難度が低い手術に限り、専門的がん治療の研修を受けている医師(レジデント)と2人で麻酔を行うことにした。
麻酔科医以外が麻酔をかけても違法ではないが、日本麻酔科学会は、学会が認定した専門医が行うべきだとの見解を出している。事故を避けるため、大病院では麻酔科専門医が担当するのが一般的になっており、こうした傾向に逆行する窮余の対策と言える。
森谷よし皓(よしひろ)手術部長は「外科医に訓練しているので安全上は問題ないが、麻酔科医が確保されるまでの一時的な措置」と説明する。
東北大病院(仙台市)では昨春、麻酔科医25人のうち11人が辞め、民間病院に移ったり、内科や皮膚科など他の診療科の医師になったりした。一時、手術が半減し、外科医も麻酔を担当するようになった。
麻酔科医不足の一因は、手術件数の急増だ。厚生労働省の調査によると、2002年9月の1か月間に全国で行われた全身麻酔による手術は約15万4000件で、9年前より約3万2000件増えた。一方、麻酔科医は2002年時点で6087人おり、増えてはいるが、これには手術を担当しない痛み治療の専門医も含まれ、手術の増加に追いつかない。
昨年4月に始まった「臨床研修制度」も、麻酔科医不足を加速させた。新人医師に2年間、研修が義務づけられ、従来は大学の医局に入っていた新人が民間病院などで研修を受けるようになり、人手不足となった大学側は他病院への麻酔科医の派遣を控え始めた。
ある麻酔科医は「緊急手術も入るので拘束時間が長い。比較的単調な作業も多く、若い医師は魅力を感じず、麻酔科医になりたがらない」と漏らす。麻酔科医不足は過酷な勤務につながり、医師が辞める悪循環を生んでいる。外科医らの2倍の月給で麻酔科医を募集する病院まで現れた。
◆揺らぐ患者の安全
「あわやという経験は、麻酔科医なら誰にでもある」。40歳代の麻酔科医は、首都圏の病院で同時に3件の手術をかけ持ちした時のことを振り返る。
患者に麻酔をかけて手術室を巡回中、隣の手術室から看護師が「患者さんの様子が変です」と飛んできた。駆けつけると、血液中の酸素が不足して患者の顔が真っ黒になっていた。人工呼吸用のチューブが機械から外れていたためだ。すぐに接続し直し回復したが、「もう少し遅れていたら危なかった」。
日本麻酔科学会は、こうした「かけ持ち麻酔」を原則禁止しているが、この医師は「多くの病院で行われている。麻酔科医の受け持つ手術が多すぎる」と指摘する。
東京都内の病院では2003年、手術中に麻酔科医が他の手術の様子を見ようと離れた間に、研修医が輸血量を増やす操作を行い、誤って血管に空気が混入、患者が意識不明の重体に陥る事故も起きている。
同学会は今年2月、麻酔科医不足に対し、
▽各医療機関の麻酔科医の定員を増やす
▽看護師、薬剤師などによる麻酔準備の導入
▽麻酔の保険診療の報酬や医師の給与を改善する
などを提言した。
提言をまとめた武田純三・慶応大教授は「麻酔科医不足は深刻だが、病院の経営陣に麻酔への理解があり、手術部門の運営や計画を麻酔科主導で行っている病院には麻酔科医が集まっている」と分析する。
麻酔科医 医師免許取得後、2年以上の麻酔科勤務などの経験を積んだ上で、厚生労働省へ申請し、麻酔科を名乗ることができる。麻酔科専門医は、この麻酔科医を対象に日本麻酔科学会が試験などを実施して認定する。
(出典:読売新聞)