「全国学力学習状況調査」はあくまで政策のための調査であって、指導のためのテストとしての設計ではないと言えます。

 

 

 

 

指導のためのテストは、日頃行っているテストの方が優れていますし、「指導と評価の一体化」という言葉にある通り、先生たちは日々子どもたちの評価を通して自分たちの授業を見直しています(少なくとも建前は)。

 

悉皆での全国学テは弊害も多く、目的を達成するためには抽出でも問題ないはずですが、そうはなりません。

 

全国統一で自治体での順位付けができるテストであるがゆえに、競争心が刺激されたり、安易に自治体や学校ごとの評価に繋がってしまったりして、短期的な視点で物事を考える方向に作用してしまっています。

 

ここは一度やり方を見直して、政策のための調査、という目的に沿ったやり方に変えるべきだと思います。

 

 

引用>福岡教育大学の川口俊明准教授は、著書『全国学力テストはなぜ失敗したのか』(岩波書店、2020年)において、「何のために学力調査が必要なのか」と問い掛けた上で、悪影響が少なく、「役に立つ」学力調査を作っていくことの必要性を主張しています。中でも、「指導のためのテスト」と「政策のためのテスト」を分けて考えなければならないというのは、傾聴すべき重要な指摘です。

 学力格差を克服するために必要なのは、「政策のためのテスト」です。この種のテストは「指導のためのテスト」とは異なり、すぐに学校現場に役に立つようなものではありません。<