自民党総裁選の4陣営に「20人の壁」…過去には「貸し出し」で恩売る行為も横行(24年9月1日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事

 

(1)

自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)で、出馬を模索しながら、いまだ正式表明のめどを付けられていない議員もいる。

各陣営による議員票の獲得競争が激しさを増す中、推薦人20人の確保に苦慮しているためだ。

 

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(2)

 「『支持』と『推薦』の間に大きなギャップがあることを改めて実感している」

 総裁選への立候補に意欲を示す上川外相(71)は8月29日、国会内で記者団にこう語り、推薦人集めが思うように進まない実情を吐露した。

 斎藤経済産業相(65)も30日の記者会見で、推薦人について、「申し上げるのは控えようと思っている」と述べるにとどめた。

 

(3)「現在立候補のめどが立っている人」

出馬を表明した

 小林鷹之・前経済安全保障相(49)、

 石破茂・元幹事長(67)、

 河野デジタル相(61)の3人に、

近く表明予定の

 小泉進次郎・元環境相(43)ら5人を加えた8人。

上川、斎藤両氏のほか、野田聖子・元総務相(63)、青山繁晴参院議員(72)の4陣営は推薦人確保に奔走している状況だ。

 

(4)

推薦人制度は、候補者の乱立防止を目的に1972年の総裁選から導入された。

推薦人になると全候補の推薦人は公表される。

 総裁選に参加できる自民議員は367人。

推薦人は、候補が勝てば人事での処遇を期待できる反面、負ければ冷遇される可能性もあり、敬遠する議員は少なくない。

 すでに出馬のめどが立った8陣営が議員の囲い込みを進めている。

各陣営の色が付いていない議員が日増しに減っていく。

出馬表明できていないある陣営の関係者は「うちは勧誘を始めるのが遅かった。20人の壁は高い」と嘆く。

 

(5)「派閥幹部 独力で18人集めれば、あと2人は貸してやると陣営に伝えている」

過去の総裁選では、告示前のタイミングで、推薦人集めに苦しむ陣営の弱みにつけ込み、派閥が推薦人を貸し出すことで恩を売ろうとする動きが横行した。

 派閥の解散が進む今回の総裁選でも、派閥幹部だった重鎮が中心となって、同様の調整が行われているようだ。

ある派閥幹部だった閣僚経験者は「独力で18人まで積み上げれば、あと2人は貸してやると陣営に伝えている」と明かした。