4.4万回検査して基準値超過ゼロ件…「フクシマ怪談」に1.5兆ウォン超の無駄金を投じた韓国政府 汚染処理水放出から1年

 

記事の概要

(1)「政府は安全性検査や水産物の消費促進に1兆5000億ウォン(約1600億円)投入」

(2)「3万7000回検査して99.8%は放射能濃度低く過ぎ検出不能、残りも基準値の1/50以下」

(3)「福島の海洋放出による放射能の危険は事実上『皆無』」

(4)「ホヤ怪談でホヤ売れず大打撃、しかし割引などの消費促進イベントで在庫をさばいた」

(5)「狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)騒動と比べ今回はデマにうまく対処できた」

(6)「デマが出回らなければ必要のなかった予算が1兆3000億ウォン以上かかった」

(7)「汚染処理水が通過するルートを定期的に検査するなど国民の不安を軽減を」

 

記事

  

写真 昨年9月8日、浦項市迎日台海水浴場近くの海で放射能検査用の海水を採取する浦項市海洋港湾課の関係者たち。/聯合ニュース

 

(1)「政府は安全性保証の検査や水産物の消費促進に1兆5000億ウォン(約1600億円)投入」

昨年8月24日、日本の東京電力は福島の原子力発電所に貯留されている汚染処理水の海洋放出を開始した。

これを前後して、韓国の一部の市民団体や政治家らは「放射能にまみれた魚を食べることになる」「日本の核テロだ」など、恐怖をあおるような疑惑をいくつも提起した。

韓国政府は水産物の安全性を検証し、国民の不安を払拭するために、各種の検査と水産物の消費促進イベントに1兆5000億ウォン(約1600億円)を超える予算を投入した。

 

リンク【グラフィック】韓国政府が実施した放射能検査

 

(2)「3万7000回検査して99.8%は放射能濃度低く過ぎ検出不能、残りも基準値の1/50以下」

この1年間で韓国政府は韓日の水産物に対して計3万7781回の検査を実施したが、そのうち99.8%(3万7703回)は放射能濃度があまりにも低く、検出装置で測定すらできない「不検出」レベルだった。

機械で放射能が検出されたのはわずか78回(0.2%)で、それもほとんどが基準値の50分の1にも満たなかった。

 

(3)「福島の海洋放出による放射能の危険は事実上『皆無』」

さまざまな「怪談(デマ)」が全てうそだったことが明らかになったのだ。

慶熙大学原子核工学科の鄭ボム津(チョン・ボムジン)教授は「福島の海洋放出による放射能の危険は事実上『皆無』だったことが科学的に立証されたようなものだ」と述べた。

 

◆「狂牛病」騒動の時とは異なり冷静だった国民

 

(4)「ホヤ怪談でホヤ売れず大打撃、しかし割引などの消費促進イベントで在庫をさばいた」

昨年3月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が訪日した際、日本メディアは「日本側が『福島産のホヤ』の輸入を要請した」と報じた。

その後、韓国野党は「福島産のホヤは買ってやるのに、韓国の米は買ってやれないだと?」と書かれた横断幕を掲げた。

韓国は2013年9月から、ホヤをはじめ全ての福島産水産物を一切輸入していない。

輸入している日本産ホヤは、福島から500キロも離れた北海道から全量を輸入している。

ホヤの養殖業者は「ホヤが最も多く売れる4-5月に怪談が出回り、大きな打撃を受けた」と話した。

しかし、韓国政府と漁業関係者は割引イベントや無料試食などの消費促進イベントでホヤの在庫を消費することに成功した。

 

(5)「狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)騒動と比べ今回はデマにうまく対処できた」

1)専門家らは、狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)騒動の時とは異なり今回は韓国社会がデマにうまく対処したと評価する。

狂牛病騒動の時は「米国産の牛肉を食べると『脳がスカスカになる』」といったデマが広がり、米国産牛肉の輸入が禁止されるなど、3兆7000億ウォン(韓国経済研究院推定)の被害が出た。

 

2)しかし今回、

 科学界

  福島の海洋放出について「安全上の問題はない」という意見で一致した。

 国際原子力機関(IAEA)

  放出1カ月前に「日本の海洋放出計画は国際的な安全基準を順守している」という結論を出し、

 韓国の原子力学界の専門家たち

  さまざまなデマに対して積極的に反論した。

 韓国政府

  連日のように関連ブリーフィングを行うなど、迅速な対応によってデマの拡散を阻止した。

 

◆3年間で血税1.5兆ウォンを投入

 

(6)「デマが出回らなければ必要のなかった予算が1兆3000億ウォン以上かかった」

しかし、これには3年間で1兆5000億ウォン以上の国の資金が投入されたのだ。

海洋水産部は2021年、日本が汚染処理水の海洋放出計画を発表すると、22年から今年の編成額(7319億ウォン)まで合わせると、3年間で1兆5556億ウォン使った。

安全性検査の費用を除いた90%以上は水産物の消費促進と漁業関係者の経営安定資金として使われたが、これはデマが出回らなければ必要のなかった資金だ。

 

(7)「汚染処理水が通過するルートを定期的に検査するなど国民の不安を軽減を」

日本による汚染処理水の海洋放出は2051年まで約30年間続く。専門家らは、デマが広がる余地がないよう検査や国民への広報など科学的な「事実」を強調した対応を続けるべきだとアドバイスする。ソウル大学地球環境科学部の趙暘基(チョ・ヤンギ)教授は「汚染処理水が通過するルートを定期的に検査して国民に結果を知らせるなど、国民の不安を軽減するための取り組みを強化しなければならない」と指摘した。

 

カン・ウリャン記者、クォン・スンワン記者