G20閉幕、超富裕層に累進課税 3会合ぶりに共同声明(24年7月27日 日本経済新聞電子版)

 

 

写真 最終日の26日に記者会見したブラジルのアダジ財務相(26日、リオデジャネイロ)=AP

 

記事【リオデジャネイロ=広瀬洋平、水口二季】

 

(1)要点「超富裕層への累進課税を進める共同声明」

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が26日、ブラジルのリオデジャネイロで閉幕した。3会合ぶりに共同声明を採択し、超富裕層への累進課税を進めることで一致した。

G20財務相・中銀総裁会議が共同声明を出すのは、23年10月のモロッコ・マラケシュでの会議以来、3会合ぶり。

「議長国ブラジルのアダジ財務相」

26日に記者会見し、共同声明の取りまとめについて「(財務相会合だけでなく)ブラジル外交にとっても大きな勝利だ」と強調した。

 

(2)「国際租税協力に関するG20閣僚リオデジャネイロ宣言」

超富裕層への課税の推進や巨大IT(情報技術)企業を対象とするデジタル課税の推進などを盛った「国際租税協力に関するG20閣僚リオデジャネイロ宣言」も公表した。G20で税に関する閣僚文書をまとめたのは初めてとなる。

 

(3)「超富裕層の公正かつ累進的な課税、公平な税負担について検討する」共同声明、宣言

共同声明では「超富裕層の個人を対象に含む公正かつ累進的な課税に関する対話を促進する」と明記した。リオデジャネイロ宣言にも「超富裕層を含むすべての納税者が、公平に税金を負担することは重要だ」と記し、効果的な課税に向けて協力をすると訴えた。

富裕層への課税強化は、格差是正を重視するブラジルが2月にサンパウロで開いたG20財務相・中銀総裁会議で提起していた。資産管理会社に株式を移すなどの「課税逃れ」により、億万長者になるほど実効税率が下がり、累進課税など税の再分配機能が損なわれているとの問題意識がある。

 

(4)「ウクライナ侵略や中東情勢は声明でなく議長声明」

地域情勢についてはウクライナ侵略や中東情勢を巡る意見がまとまらず、共同声明には盛り込まなかった。議長国ブラジルの裁量で公表できる議長声明を出した。

議長声明は、ロシアのウクライナ侵略や中東情勢について意見を表明した国があったとした上で「一方でG20はこれらの問題を議論する場ではないと考えているものもいた」と言及した。共同声明の取りまとめを優先するための対応を取った。

 

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