「子なし猫好き女性」発言が炎上、副大統領候補バンス氏に超党派の非難(24年7月27日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

原題:Vance’s ‘Cat Ladies’ Insult Sparks Criticism of Trump’s VP Pick

 

記事(Julie Fine、Katia Porzecanski)

 

(1)要点

  •     保守派コメンテーター、「郊外に住む女性は味方になってくれない」
  •     「いろんな理由で子どもがいない人を批判したのではない」-バンス氏

 

(2)「「子どものいない猫好きの女性」を侮辱した2021年の発言」

多幸感に満ちた共和党全国委員会(RNC)からわずか1週間、ホワイトハウスを目指してトランプ前大統領と伴走するバンス上院議員に早くも厳しい現実が突きつけられた。

「子どものいない猫好きの女性」を侮辱した2021年の発言が、民主党のみならず共和党メンバーからも集中砲火を浴びている。

  

(保守派の政治コメンテーター、トミー・ラーレン氏)

「郊外に住む女性有権者は『子どものいない猫好き女性』と呼ばれたら、味方になってくれない」と述べた。

「共和党員として私は面白い発言とは思うが、投票先を決めかねている女性の多くが不愉快に思うだろう」と続けた。

 

(3)「民主党の支持基盤と献金者らは活気づき、熱気と資金の両面で勢い復活」

バンス氏発言の炎上は選挙戦の勢力図が変わったタイミングで起きた。

バイデン大統領が再選を断念し、ハリス副大統領が民主党の大統領候補指名をほぼ確実にしたことで、同党の支持基盤と献金者らは活気づき、熱気と資金の両面で勢いを取り戻している。

  

(4)バンス氏は26日、シリウスXM衛星ラジオの「メギン・ケリー・ショー」で「いろんな理由で子どものいない人々を批判したのではない」と釈明。

「アンチ家族、アンチ子どもになっている民主党を批判した発言だった」と述べた。

 

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(5)「最保守派の女性もバイデン派になってしまう」

2018年に死去したジョン・マケイン上院議員の娘、メーガン・マケイン氏はソーシャルメディアの「X(旧ツイッター)」に「保守派男性の知人全員に警告しようとしてきた。こうしたバンス氏の発言はあらゆる方面の女性を奮い立たせる。トランプ氏を支持する最保守派の友人もこれに含まれる」と投稿。

「こうした発言が与える心痛は重大で、本質的にキリスト教的ではない。ここに描かれているのはわたしたちの姿ではない」と続けた。

  

(6)「2021年の発言内容」

1)火種になっているのは、2021年にFOXニュースで当時アンカーだったタッカー・カールソン氏とのインタビューで述べた発言。

 

2)「この国は事実上、民主党とオリガルヒのような財閥、そして子どもがいなくて猫を飼っている多数の女性たちによって運営されている。彼女たちは自分たちの人生と自分たちが下した選択で惨めな思いをしており、他の米国民にも惨めな思いをさせたいと考えている」と述べた。

 

3)バンス氏はハリス副大統領と民主党のオカシオコルテス下院議員(ニューヨーク州)、ブティジェッジ運輸長官を名指し、「米国の未来に直接関係のない人々にこの国を任せてしまったことを、どう説明できるだろうか」と問いかけた。

 

4)「ハリス氏の支持者らはこれを受けて直ちに反論」

夫のダグ・エムホフ氏が前妻の間にもうけた2人の子どもにとって、ハリス氏は継母であることを指摘した。

 

(7)「トランプ陣営の広報は、2021年の別のコメントを引き合いに「重大な文脈が欠落」と指摘」

トランプ陣営の広報担当、カロライン・リービット氏はバンス氏が同じ2021年に述べた別のコメントを引き合いに、「重大な文脈が抜け落ちている」と指摘。

カールソン氏とのインタビューから数日前にバンス氏がスピーチで言及した「子どものいない左派」は、医学的あるいは生物学的な理由で子どものいない人たちのことではないと述べた。

 

(8)「指名されて以来、安全運転を心がけていたが」

バンス氏は共和党の副大統領候補に指名されて以来、比較的穏健派の有権者を遠ざけかねない話題を避けている。RNCでのスピーチでは人工妊娠中絶にはあまり触れなかった。

  それでもバンス氏およびトランプ氏の当選を脅かしかねない過去の発言が、今後さらに掘り起こされる可能性は高い。

 

 

原題:Vance’s ‘Cat Ladies’ Insult Sparks Criticism of Trump’s VP Pick(抜粋)