蓮舫氏大敗の東京都知事選挙、立憲民主党の大誤算…次期衆院選での野党連携にも影響か(24年7月8日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事の概要

(1)「党内に共産党との「共闘」路線犯人説」

(2)「小池氏と自民党の一体化印象付け作戦」

(3)「独自の情勢調査などで蓮舫勝利を期待」

(4)「与野党対決の構図、政治とカネいずれも争点にならなかった」

 

記事

 

(1)「党内に共産党との「共闘」路線犯人説」

東京都知事選で立憲民主党の全面支援を受けた蓮舫氏が大敗し、次期衆院選での政権交代に向けた弾みとしたかった立民にとっては大きな誤算となった。

立民内では、共産党との「共闘」路線が無党派層離れを招いたことを敗因に挙げる声が広がっており、次期衆院選での野党連携の構図に影響を与えそうだ。

 

リンク 都知事選、蓮舫氏の大敗に立憲民主党内で衝撃広がる…「共産色強すぎた」との指摘も

 

 

(2)「小池氏と自民党の一体化印象付け作戦」

立民は選挙戦を通じ、自民党が現職の小池百合子氏を水面下で支援していることを踏まえ、小池氏と自民の「一体化」を印象付ける作戦を進めた。

選挙戦終盤の4日には、野田佳彦・元首相が新宿区内の街頭でマイクを握り、「小池さんが(自民党派閥の)裏金問題を知らなかったとは思わない。『同じ穴のタヌキ』が東京都のリーダーでいいのか」と強調した。

 

(3)「独自の情勢調査などで蓮舫勝利を期待」

立民内では当初、蓮舫氏に対し、独自の情勢調査などを基に「勝てる候補」との期待が強かった。

立民は4月の衆院3補欠選挙や5月の静岡県知事選で勝利しており、都知事選については「勝利して次の戦いにつなげていきたい」(泉代表)と、次期衆院選に向けて勢いを加速させる機会と位置づけていた。

 

(4)「与野党対決の構図、政治とカネいずれも争点にならなかった」

ところが、小池氏に大敗し、政権交代の機運は逆にしぼみかねない状況となった。

自民が表立った小池氏の応援を控えたことで与野党対決の構図を作れず「印象」訴えにとどまった。

「『政治とカネ』の問題を都民に審判していただく」(安住淳国会対策委員長)としていた政治資金問題の争点化にも失敗した。

政権批判票は石丸伸二氏にも多くが流れ、分散したとみられる。

 

(5)蓮舫氏が敗れた要因「共産との連携が無党派層を遠ざけた」

 1)共産との連携が無党派層の支持を遠ざけたことを指摘する向きも多い。

 2)立民都連は共産に近い幹部が実権。

  会長の長妻政調会長や幹事長の手塚仁雄幹事長代理ら共産に近く、候補擁立の段階から共闘路線を模索していた。

 3)党内には、「革新色で見られないよう堂々と勝負してほしい」(野田氏)と共産支援が目立つことへの懸念もあった。

 4)その野田氏も5日夕に共産の志位和夫議長と同じ会場で街頭演説するなど、最後まで「共産色」が 払拭(ふっしょく)できなかった。

 

(6)「『立憲共産党』路線がレッドカードを突きつけられた」

都知事選を受け、立民内では都連幹部らの責任論が出る可能性がある。

共産と距離のある党ベテランは、「『立憲共産党』路線がレッドカードを突きつけられた」と分析し、9月に予定される党代表選でも、次期衆院選を見据えた共産との関係性が主要な論点になるとの見方を示した。