バイデン氏、再選目指す決意を強調-民主党内では憂慮の声渦巻く(24年6月30日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

記事(Jordan Fabian、Josh Wingrove、Jennifer Jacobs、Saleha Mohsin)

 

(1)要点

  •     テレビ討論会での大統領の悲惨なパフォーマンスに衝撃広がる
  •     候補者交代がトランプ氏返り咲き阻止の唯一の方法との見方も

 

写真 U.S. President Joe Biden walks off with first lady Jill Biden following the CNN Presidential Debate at the CNN Studios on June 27, 2024 in Atlanta, Georgia. Photographer: Justin Sullivan/Getty Images

 

 

(2)「討論会の後の数時間、何か対応策はあるのか考えあぐねていた」

米大統領選討論会でのバイデン大統領の悲惨なパフォーマンスを受け、政治の世界ではバイデン氏は「出馬を取りやめるのか」といった疑問が渦巻いている。

大口献金者や大統領の側近、議員、有権者らは、81歳のリーダーが最悪のタイミングでこのような結果となった後の数時間、何か対応策はあるのか考えあぐねていた。

  

(3)「唯一の希望は、バイデン氏が出馬を辞退することだ」

献金者間では怒りのメールが飛び交い、憂慮の発言は外国政府高官からも聞かれ、ワシントンやウォール街を含め、多くの人が同じ結論に達している。

民主党員や、トランプ前大統領の返り咲きを阻止したいと考える人々にとって唯一の希望は、バイデン氏が出馬を辞退することだということだ。

 

(4)「大統領の頑固なプライドと側近の誤算が、民主党の大惨事のきっかけとの懸念」

しかし、大統領自身が到達した結論はそれではなかった。ノースカロライナ州で6月28日に行われた選挙集会で、バイデン氏は聴衆に向かって、以前のようにうまく話したり議論したりできないかもしれないが、「この仕事を全力を尽くして成し遂げられる」と確信していると語った。

オバマ元大統領や他の有力な民主党関係者が支持を表明したことで、バイデン氏に最も近い側近らは安堵(あんど)した。

 

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しかし、バイデン氏の討論会でのパフォーマンスに衝撃を受けた人々にとっては大きな慰めにはならなかった。

大統領の頑固なプライドと側近による度重なる誤算が、民主党にとっての大惨事のきっかけになるのではないかと懸念する声もある。

写真 1回目討論会後の選挙集会で演説するバイデン大統領(ノースカロライナ州ローリー、6月28日)Photographer: Allison Joyce/Getty Images

  

(5)「トランプ氏の公約」

現時点でリードしているトランプ氏は、自身の2期目が報復と混乱の嵐になることを示唆。連邦政府と社会保障の大幅な縮小や広範囲にわたる新たな関税の導入、孤立主義的な外交政策の推進を公約に掲げている。

  

(6)「大統領の年齢や判断力の低さは共和党の攻撃を裏付けるようなものだった」

多くの有権者は、大統領がその職に必要な能力を欠くと考えている。党内ではあらゆるレベルにおいて、責任のなすりつけ合いと非難合戦が繰り広げられている。

バイデンのスタッフは、大統領が開始早々から一時固まったり言葉につまったりする場面を目にした。大統領の年齢や判断力の低さに関する共和党の攻撃を裏付けるようなものだった。

最初のコマーシャル中断前に、デラウェア州ウィルミントンの選挙本部でバイデン氏の補佐官らは、大統領が風邪をひいていると伝えるメールを記者らに送っていた。

 

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写真 第1回討論会のトランプ前大統領(左)とバイデン大統領(アトランタ、6月27日)Photographer: Andrew Harnik/Getty Images

  

(7)「バイデン氏の側近や上級幹部は夜も翌朝も早い時間から話し合ったもよう」

討論会後、大統領に同行していた当局者らの間では沈鬱(ちんうつ)な空気が漂い、ブラックユーモアが飛び交っていた。

  複数の高官によると、側近らが互いに励まし合い、今後の道筋を立てるために集まっている間、バイデン氏自身もイライラした様子だった。

翌朝になっても状況は改善しなかった。

(匿名を条件に語った関係者1人)

民主党上院議員の1人は、27日の夜遅くまでバイデン氏の側近や上級幹部らと語り合い、翌朝も早い時間から再び話し合った。

会話にはリケッティ大統領顧問やドニロン大統領上級顧問をはじめとするホワイトハウスの上級補佐官やシューマー上院院内総務、サウスカロライナ州選出のクライバーン下院議員ら民主党議員も含まれた。

  

(8)「4年前にバイデン氏勝利を歓迎していた外国の指導者から憂慮の声」

国外では、4年前にバイデン氏がトランプ氏を破ったことを歓迎していた外国の指導者から憂慮の声が聞かれた。

 

リンク 「こうなると恐れていた」、討論会のバイデン氏を同盟国から憂慮の声

  

ポーランドのシコルスキ外相は、X(旧ツイッター)で古代ローマのアウレリウス皇帝について投稿し、「沈む太陽に向かって上手に馬を歩ませることが大事だ」と述べた。五賢帝最後の皇帝、アウレリウスは晩年に誤った判断で内戦を引き起こし、国力を疲弊させたことで知られる。

  

(9)「8月の民主党大会までに候補者交代が可能かどうかについて臆測」

ワシントンでは民主党関係者の間でバイデン氏に代わり得る候補者の名前をささやかれ、8月にシカゴで開催される民主党大会までに候補者交代が可能かどうかについて臆測が飛び交っていた。

ハリス副大統領やカリフォルニア州のニューサム知事、ミシガン州のウィットマー知事の名前が繰り返し挙がっている。

写真 6月27日の米大統領選討論会後に記者団に語るカリフォルニア州のニューサム知事Photographer: Eva Marie Uzcategui/Bloomberg

 

(10)「ニューヨーク・タイムズのコラムニストは「涙がでた」、社説は撤退を促した」

バイデン氏が定期的に会話する数少ないメディア関係者の1人であるニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏は、討論会を見て「涙が出た」と書き、大統領は選挙戦から撤退すべきだと記した。

  その後、ニューヨーク・タイムズの編集委員会は、バイデン氏に選挙戦からの撤退を促す社説を掲載した。

 

原題:Biden’s Defiance Has Democrats Fearing They’ll Lose White House (2)(抜粋)