米ナイキ株が大幅下落、売上高が予想下回る-需要さらに悪化(24年6月28日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)
記事(Kim Bhasin、Lily Meier)
(1)要点
- 3-5月期売上高1.7%減、株価は時間外取引で一時6%安
- 「コンバース」、北米と西ヨーロッパで販売振るわず-売上高18%減
(2)スポーツ用品メーカーの米ナイキが27日発表した3-5月(第4四半期)決算では、売上高が市場予想に届かなかった。
小売り提携先との関係強化や製品開発のスピードアップに向けた取り組みが急務となっている。
(3)3-5月期売上高は1.7%減の126億ドル(約2兆300億円)で、アナリスト予想平均を下回った。
一方、グレーターチャイナ(大中華圏)の売上高は18億6000万ドルと、予想平均を上回り、1株利益も予想を超えた。
(4)ナイキの株価は通常取引終了後の時間外取引で一時6%安。今年に入ってから同日通常取引終値までに13%下落している。
今回の業績は、ナイキがここ数四半期に報告した軟調さが続いていることを示している。
自社ウェブサイトやアプリ、店舗での売上高は8%減少し、市場予想を下回った。「コンバース」は北米と西ヨーロッパで販売が振るわず、売上高は18%減少した。
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原題:Nike Shares Drop on Sales Miss, Deepening Demand Slump (2)(抜粋)
■グレーターチャイナ(大中華圏)の衝撃 2009年4月25日
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グレーター・チャイナという地域概念は、香港、台湾と中国本土を含むもの(注)で、ビジネス上の概念としては、特に米系多国籍企業が中国の仕事をする時に、中国地域だけを対象にした組織をつくるのではなく、グレーター・チャイナ・グループもしくはディビジョン(大中華事業部)という呼び方で仕事をまとめていったことから登場してきた。
香港の中国返還直後の今からおよそ12年も前に、筆者自身が、香港や北京で相手の名刺に組織名称としてこういう言葉が用いられているのをみて、新鮮な驚きを感じたことを覚えている。
中国大陸から日本に留学生としてきて、経営学を学ぶ学生の新鮮な驚きは、10年以上前の筆者の驚きに近いと思った。
香港は中華人民共和国香港特別行政区なので、何ら特別の感情を持たないかもしれないが、ビジネスの世界では台湾がグレーター・チャイナ地域として捉えられ、実際に、グレーター・チャイナの地域本社が、北京にあったり、上海にあったり、香港あったりする。
ビジネスの世界では、特に欧米の企業においては、台湾は大中華圏事業部もしくは大中華圏地域本社が統括しているケースが多い。
政治の世界では、まだ台湾と中国の両岸問題は、難しい局面を内包しながら推移しているので、中国人留学生の驚きもよく理解できる。
それではなぜグレーター・チャイナという地域を前提にして中国事業を組み立てるのか?
重要な理由のひとつは経営資源の有効活用ということだ。
とりわけ人材の活用をうまくやる発想がこの地域概念の根底にある。
中国ビジネスの構築の際に、
台湾人の工場経営能力を活用したり、
香港人の販売・マーケティング能力
を活用したりするのだ。
また、グレーター・チャイナ地域を前提とする事業戦略の展開は、中国本土、香港そして台湾の総合的なビジネス環境の理解に基づいて行われるので、ばらばらのアプローチをとる企業に比べて、事業開発の観点からも有利になる。