バイデン氏勝利、市場にとって「より危険なシナリオ」(歴史学教授)トゥーズ氏(24年6月26日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)
記事(Katia Dmitrieva、Stephen Engle)
(1)要点
- 共和党が2度目のトランプ氏敗北にどう反応するか不透明
- 市場はそれを安定性に欠ける結末と見なす可能性-同教授
(2)(米コロンビア大学歴史学教授のアダム・トゥーズ氏)
バイデン米大統領が再選を果たしても、米国の深い党派対立は市場に不確実性をもたらす恐れがあると、米コロンビア大学歴史学教授のアダム・トゥーズ氏は指摘した。
バイデン氏がトランプ前大統領に再び勝てば、共和党がさらに反発する可能性があるためだ。
(3)「政治的観点から見て、より危険なシナリオはバイデンが勝利することだ」とトゥーズ氏は中国の遼寧省大連市で開催されている世界経済フォーラム(WEF)主催の会議で述べた。
バイデン氏の勝利がもたらす不確実性は、トランプ氏率いる共和党が2度目のトランプ氏敗北にどう反応するのかという点に起因すると、同氏は説明。
市場はそれを安定性に欠ける結末と見なす可能性があると、付け加えた。トゥーズ氏は2008年の金融危機に関する歴史書「クラッシュド(原題)」の著者。
(4)「激戦州7州全体でトランプ氏の支持率がバイデン氏を4ポイント上回った」
バイデン、トランプ両氏は2024年の大統領選に向けた最初の討論会を27日に予定している。
トランプ氏が敗北を認めず、同氏の支持者が連邦議会議事堂で暴動を起こした2020年選挙での苦い争いは、今もなお尾を引いている。
(ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルタント5月の世論調査)
経済への悲観的な見方が広がる中、勝敗を左右するとされる激戦州7州全体でトランプ氏の支持率がバイデン氏を4ポイント上回った。
(5)「両候補ともに中国には強硬姿勢」
選挙の結果は中国と米経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。
トランプ氏は選挙戦中に、中国製品に60%の関税を課す考えを示唆。
バイデン氏は中国産の電気自動車や太陽電池パネル、鉄鋼の関税を引き上げたほか、半導体への規制も強化している。
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原題:Biden Win Could Disrupt Markets More Than Trump, Tooze Says(抜粋)