厚生年金、パートやアルバイトら加入時の企業規模要件を撤廃…政府方針(24年6月25日 読売新聞オンライン無料版)

 

(1)要点「企業の負担について支援策を今後、検討」

政府は、パートやアルバイトなどの短時間労働者が厚生年金に加入する際の企業規模の要件を撤廃する方針を固めた。

撤廃で生じる企業の負担について支援策を今後検討する。

働き方の違いで不公平が生じない制度にし、適用する労働者を増やして老後の所得保障を厚くする狙いがある。

 

(2)複数の政府関係者が明らかにした。厚生労働省の有識者懇談会が近く、撤廃の検討を求める報告書をとりまとめる予定で、政府はこれを踏まえて撤廃とそれに伴う制度設計を検討し、来年の通常国会に関連法案を提出する。

 

(3)現行制度

 短時間労働者が厚生年金に加入するには、勤務先の企業が「従業員101人以上」(今年10月からは51人以上)であるほか、月額賃金が8万8000円以上、週の所定労働時間が20時間以上――などを満たす必要がある。

 これらのうち政府は企業規模要件の撤廃を優先する。同省の2019年の試算では撤廃で新たに約130万人の加入者が増えるとされる。

 

(4)厚生年金の保険料は労使折半のため、撤廃で適用者を新たに抱える企業側は費用や事務作業が増えることとなる。

懇談会のとりまとめには、企業負担への配慮の必要性が盛り込まれる予定で、政府は具体策を検討していく。

 

(5)(従業員が5人以上いる個人事業所)

法人の企業とは別に、従業員が5人以上いる個人事業所の場合、飲食サービス業や宿泊業はフルタイムで働く従業員がいても厚生年金適用の対象業種となっていない。

政府はこの非適用業種も「解消」し、加入者を増やす方向で調整する。

 

<私見:

働く人が全員加入は一つの理想型だと思います。従来、できなかったのは零細小企業や個人事業所の雇い主負担に耐えられるかが問題だった。

いまは、加入者が先細りで保険料収入の見込みが怪しくて将来の年金水準が低すぎるようになる厚生年金を少しでも安定化させるために、ともかく加入者と保険料収入を増やす。

問題は、大企業は雇い主負担を製品の価格に一部上乗せすることもできる。一個当たりは少額でも社員一人が扱う数量が大きいから、雇い主には結構な負担軽減になる。これが税や保険料の「転嫁」の問題です。

商店や零細企業は社員が使う数量が少ないから、仮にちょっぴり価格に上乗せしても店の負担軽減はわずか。あるいは消費税の使途を地方中心にするというヨーロッパの理念にならって、消費税の使途の一部に、零細企業の社員の福祉に充てることができるかどうか。ちょっと邪道に見えますが>