南鳥島近海に希少金属 コバルトなど2.3億トン 日本財団・東大(24年6月22日 日本経済新聞電子版)

 

記事

 

(1)要点

日本財団と東京大学は21日、日本の排他的経済水域(EEZ)内にある南鳥島(東京都)周辺の深海にコバルトやニッケルなどのレアメタル(希少金属)を含む鉱物資源があるという調査結果を発表した。

資源量は約2億3000万トン以上と推計され、コバルトは国内消費量の約75年分、ニッケルは約11年分に相当するとみる。2026年以降に企業を集めて商業化を目指す。

 

(2)東京大学の加藤泰浩教授らは16年、南鳥島沖の海底でマンガンやコバルト、ニッケルを含む「マンガンノジュール」という球状の鉱物を大量に見つけていた。

日本財団と共同で24年4~6月に岩石などを採取する装置や遠隔操作型の無人潜水機を使い、水深5200~5700メートルの海底を100カ所以上探査した。

すると約1万平方キロメートルの範囲にマンガンノジュールが約2億3000万トンあるのが確認できた。

採取したマンガンノジュールを詳しく調べ、コバルトの資源量を約61万トン、ニッケルは約74万トンと試算した。

加藤教授は「マンガンノジュールの密度が高く、相当にいい物がある。産業育成のために開発につなげたい」と話す。

 

(3)マンガンノジュールは鉄やマンガンの酸化物でできている。人のこぶしくらいの大きさで、マンガンを約20%、コバルトやニッケルを1%以下含む。大昔に海に沈んだ魚の骨の周りに数百万~数千万年かけて金属がくっついてできたとされる。

 

(4)日本財団などは1日あたり数千トン規模のマンガンノジュールを採取する実証試験を25年に始める計画だ。採取したマンガンノジュールは金属の精錬を担う国内企業に提供する予定だ。26年以降に日本財団が中心となって企業を集めて共同事業体を作り、商業化を目指す。