米全土で記録的暑さ 各地で最高気温、山火事や洪水発生(24年6月21日 日本経済新聞電子版)

 

記事【ニューヨーク=弓真名】

 

(1)要点

 米国全土で記録的な暑さが観測され、猛暑への警戒が強まっている。熱波が発生している東部や中西部で最高気温の更新が相次いでおり、24年は記録的猛暑となった23年の暑さを更新する可能性がある。

 

写真 米東部ボストンは記録的な暑さを記録した=ロイター

 

(2)各自治体は熱中症など健康被害への対策に追われている。

東部マサチューセッツ州ボストン

 19日、最高気温が華氏98度(セ氏36.7度)となり、1923年同日に記録した最高気温の華氏96度を更新した。

(米国立気象局(NWS)の速報値)

18日から19日にかけて、米国にある20カ所の観測所で従来の最高気温に達するか、記録が更新された。

17日には中西部イリノイ州シカゴも記録的な暑さとなった。

 

(3)(米厚生省)

 6月中に南部テキサス州や西部ニューメキシコ州といった南西部の127の郡で5日以上の猛暑があると予想しており、1000万人以上が熱中症などの「リスクにさらされる」と分析する。

 

(4)(政府当局)

東部ペンシルベニア州フィラデルフィア当局は20日から猛暑に対応する緊急事態宣言を発令した。

ニューヨーク市でも市民が涼める場所を提供し屋外で働く個人に体を冷ます道具を配布するなどの施策を取っている。

 

(5)記録的な暑さは天災を引き起こし、人々の生活にリスクをもたらす。

テキサス南部 熱帯性暴風雨が接近していることによる洪水が発生した。

ニューメキシコ 山火事で8000人以上が避難を余儀なくされており、異常気象の影響も広がっている。

 

(6)猛暑は家計の負担にもつながる。

米民間調査によると、24年の夏場の冷房費の平均額は昨年より約9%上昇し、719ドルになるという。14年の476ドルからは51%増える試算だ。

NWSは「記録的な暑さは来週初めまで続く可能性があり、猛暑の期間は地域によっては過去数十年で最長となる可能性がある」と警告している。

今後、猛暑の原因となっている熱波は中西部の五大湖や北東部地域から南東部に南下するもようだ。