米IT、生成AIの「話術」磨く スマホ・PCまるでヒト(24年6月16日 日本経済新聞電子版)

 

記事【シリコンバレー=渡辺直樹】

 

(1)「対話する感覚で操作ができる音声技術の発達」

アップルやグーグルなど米IT(情報技術)大手が生成AI(人工知能)の新技術を公表している。目立つのは音声技術だ。AIを搭載したスマホやパソコンが「擬人化」され、対話する感覚で操作ができる。

 

(2)「声をかけると最短0.2秒で反応する対話型AI」

対話型AI「Chat(チャット)GPT」で生成AI開発の先頭を走る米オープンAIは5月13日、最新AI「GPT-4o(オー)」を披露した。強調したのは音声技術だ。

最新の生成AIは声をかけると最短0.2秒で反応する。ヒト同士の反応速度に近く、ストレスなく会話できる。

豊かな感情表現も可能だ。話者が大げさに深呼吸をすると「掃除機じゃないんだから」と機知に富んだ返しをみせる。語気で感情を判別し、スムーズに会話を続けられる。音声対話機能は近く一般公開する見込みだ。

 

(3)「アップルはiPhoneの「Siri」に生成AIを搭載の予定」

6月10日に技術イベントを開いたアップルはiPhoneの音声支援機能「Siri(シリ)」に生成AIを搭載して刷新すると説明した。

「お母さんの到着はいつ?」。こんな曖昧な質問にも回答できる。生成AIがiPhoneのメールから旅程表を割り出し、交通機関の運行情報と照会し、データから瞬時に答えを導くからだ。

 

(4)「音声で操作するAIの搭載のPC、タブレット、犬型ロボット、フィギュア、自動車に」

マイクロソフトは、自社「ウィンドウズ」のパソコンやタブレット型端末に生成AIを搭載すると公表した。

搭載パソコンは言語をほぼリアルタイムで翻訳できる。対応言語は40以上に及ぶ。

音声で操作するAIの搭載は情報端末に限らない。米ボストン・ダイナミクスはチャットGPTを使い会話する犬型ロボを開発する。オープンAIなどが出資する米新興企業のフィギュアAIはヒト型ロボを開発中だ。

最新のチャットGPTはクラウド経由で企業が活用するケースが増え、自動車での採用も進む。独メルセデス・ベンツグループもチャットGPTの搭載を始めている。