米ウェルズ・ファーゴ、「偽装」勤務者を一斉解雇 キーボード操作を調査(24年6月15日 日本経済新聞電子版)
記事【ニューヨーク=三島大地】
(1)米大手銀ウェルズ・ファーゴが、勤務時間中に働いているように見せかけた十数人の行員を解雇したことが分かった。キーボードの動きを偽装し、勤務していたようにでっち上げたという。米ブルームバーグ通信が報じた。
解雇された職員は10人以上にのぼるという。
同社の広報担当者は日本経済新聞の取材に「ウェルズは従業員に最高水準の規範を求めており、非倫理的な行為は許されない」とコメントした。
米金融取引業規制機構(FINRA)に提出した資料で明らかになった。開示資料によると「(働いていないのに)働いているとの印象を与えるキーボード操作の偽装」を調査したうえでの解雇という。
(2)勤務を装う仕組みは新型コロナウイルス禍の在宅勤務の普及で広まったとされる。
セキュリティー企業のエクスプレスVPNによると、米企業の78%が従業員の働きを監視するソフトを使用するなど、リモート勤務の従業員をチェックしようとする企業は多い。
従業員の59%はこうした監視に不安やストレスを感じており、対策として人気が高まった。
(3)「マウスの動きを偽装する「マウスジグラー」」
電子商取引(EC)サイトでマウスの動きを偽装する「マウスジグラー」は20ドル(約3200円)程度で購入できる。
ウェルズは22年、在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッド勤務を導入した。現在は多くの従業員に対し、週3日はオフィスに出勤するよう求めている。
ブルームバーグは「解雇された職員が(オフィスに出社していたのか)在宅勤務だったのかは明らかになっていない」と報じている。
(4)ウェルズの対応を巡る反応は様々だ。
米メディアのビジネスインサイダーは「従業員が怠けていると企業は高いツケを払わされる、ということを思い起こす出来事だ」と指摘した。
一方、米CNNは「(新型コロナ禍以降)ハイブリッド勤務が始まって4年になるのに、一部の上司はいまだに部下を一人前に管理する方法すら見いだせていない」とウェルズの対応を批判的に報じた。