左派「選択肢、我々か極右」 年金改革など見直す公約(24年6月15日 日本経済新聞電子版)

 

記事【パリ=北松円香】

 

(1)フランスで社会党をはじめとする左派の連合が、6月末から投票が始まる下院選に向けて公約を発表した。

食費や教育費といった家計の負担を減らし、年金改革などマクロン大統領の政策は大幅に見直す。有権者の支持を失ったマクロン氏は極右に勝てないと指摘し、左派が極右台頭阻止を担うと強調した。

 

(2)左派連合「新人民戦線」 共通の公約と候補者一本化

 中道左派の社会党、急進左派の「不服従のフランス(LFI)」、環境派、共産党が下院解散をきっかけに結成した。

左派の各党は以前も連合を組んで議会で協力していたものの、社会党が2023年秋から参加を停止していた。

マクロン氏による9日の電撃解散を受けて再び連携を決め、共通の公約と候補者一本化で合意した。

 

(3)左派連合の公約

公約では年金受給年齢を64歳に引き上げるマクロン氏の改革は早急に廃止するとした。

また食品とエネルギー価格の抑制や交通費・給食費などを含めた教育の完全無償化、最低賃金の引き上げなどを約束した。

 

(4)「国民連合(RN)に次ぐ支持」

ヨーロッパエコロジー・緑の党のトンドリエ事務局長は「マクロンは選挙で過半数は取れない。選択肢は極右か、我々かのどちらかだ」と強調した。

実際に世論調査では左派連合は極右政党の国民連合(RN)に次ぐ支持を得ている。