菅氏の「岸田嫌い」は筋金入り 大政局への筋書き、それぞれの思惑は 歳川隆雄(24年6月15日 産経新聞オンライン無料版)

永田町・霞ヶ関インサイド

 

記事

 

写真 会食場所に現れた菅氏の真意が関心を集めた

 

(1)先週6日夜、

  菅義偉前首相と、

  加藤勝信元官房長官、

  萩生田光一前自民党政調会長、

  武田良太元総務相、

  小泉進次郎元環境相が、

東京・麻布十番の寿司(すし)店「おざき」で会食した。

 

(2)「反岸田連合の旗揚げか!」と、マスコミ各社の政治記者は気色ばんだ。

そう思われても何ら不思議ない。菅氏の〝岸田文雄首相嫌い〟は筋金入りだ。

解体を余儀なくされた旧安倍派の萩生田氏も本音はほぼ同じ。旧二階派の武田氏も根強い反発を抱く。

 

(3)加藤勝信

もともと温厚な加藤氏は力づくの「岸田おろし」に動くタイプではない。だが、永田町で「HKT」と呼ばれる萩生田、加藤、武田各氏の中で、唯一の次期総裁候補と目される。行動を共にせざるを得ないという心情であろう。

 

(4)「「HKT+菅」が「麻生・茂木」と連携して岸田首相を引きずりおろす」

通常国会閉会後、夏にかけて、この「HKT+菅」が、「反岸田」を鮮明にするとしても、政治資金規正法改正案をめぐり岸田首相との間に大きな亀裂が生じた麻生太郎副総裁・茂木敏充幹事長ラインとの間合いをどうするのか。

麻生、菅両氏の関係は、岸田、菅両氏の関係同様、というより、それ以上に良くない。

「HKT+菅」が「麻生・茂木」と連携して岸田首相を引きずりおろすシナリオにはリアリティーがあるとは思えない。

 

(5)「9月の自民党総裁選のシミュレーション」

早くも永田町で流布されたが、岸田首相の解散権が封じられて、9月の自民党総裁選が地方党員・党友を含むフルスペックで実施される場合のシミュレーションは必要である。

 

その前提1)岸田首相が出馬・再選を断念するケース。

 現状では石破茂元幹事長、上川陽子外相、高市早苗経済安保相、加藤氏らが名乗りを上げるはずだ。そして、次期総裁(首相)は衆院選で集票力が期待できる「顔」が求められる。でなければ、選挙に自信がない当選4回生以下は戦えないと言う。

 

(6)東京都知事選で蓮舫参院議員が当選するケース

 7月7日投開票の東京都知事選で、無所属で出馬する立憲民主党の蓮舫参院議員が当選すると、野党は都政を国政に連動させて政権交代を目指す。野田佳彦元首相を担ぐとアピールする。

 

(7)その前提2)立憲民主党次期代表が野田氏に代わった場合

立憲民主党も9月に代表選がある。そこで次期代表が泉健太代表でなく、野田氏に代わった場合だ。自衛官の父の下で育ち、松下政経塾1期生の野田氏は、立憲民主党にあっても生来の保守政治家である。

 

(8)では、自民、公明与党候補が誰であれば、野田候補に勝利できるのか。

最後は、小泉氏を担ぐしかないという声が出てくるのではないか。

しかし、父・純一郎元首相は「早すぎる」とダメ出しする。

そこで、前提②の岸田首相も参戦である。首相周辺は「勝てる」と自信を持つが、いかがなものか。(ジャーナリスト・歳川隆雄)