新一万円札の渋沢栄一に韓国はどう反応する(24年6月15日 産経新聞オンライン無料版)

ソウルからヨボセヨ

 

記事(黒田勝弘)

 

(1)日本のお札が7月から変わる。肖像画も一万円札はこれまでの福沢諭吉から渋沢栄一(1840~1931年)に変わる。

2人とも明治時代の日本近代化の偉人だが歴史的に韓国と縁が深い。

思想家の福沢

 韓国の近代化革命を目指した志士、金玉均(キム・オッキュン、1851~94年)らを支援し、

日本資本主義の父といわれた実業家の渋沢

 韓国の経済発展に大いに寄与したからだ。

 

(2)韓国では1963年、日本の千円札に初代首相の伊藤博文が登場した際、「わが国を侵略、支配した元凶でケシカラン」といって大騒ぎしたことがある。

今回もまた騒ぐのだろうか。

 

(3)渋沢栄一

1898年(明治31年)に韓国で大韓帝国皇帝、高宗に会い経済改革などを話し合ったが、その結果の一つが紙幣発行だった。

渋沢が頭取だった日本の第一銀行釜山支店がそれを担い、渋沢の肖像画が入った紙幣が韓国最初の紙幣になった(1902年)。

ソウルの南大門市場向かい側の「韓国銀行貨幣博物館」にはそれが展示されている。

 

(4)「京仁鉄道や京釜鉄道や数多くの近代化事業は「侵略」というのが韓国史観」

しかし、韓国の公式歴史観ではそれはみんな〝侵略」

渋沢はそのほか韓国で最初の「京仁鉄道」や「京釜鉄道」をはじめ数多くの近代化事業を手掛けている。

しかし、韓国の公式歴史観ではそれはみんな〝侵略〟とされてきた。

今回、一万円札の渋沢登場で韓国が自らの歴史をどれだけ冷静かつ客観的に見られるか、興味深い。(黒田勝弘)