三菱UFJ銀行の元行員、株の不正取引5000回で懲戒解雇…融資先の内部情報も利用(24年6月13日 読売新聞オンライン無料版)

 

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(1)要点「融資先に無断で内部情報を系列証券会社と共有の疑い検査過程で露見」

三菱UFJ銀行の行員が、金融商品取引法が禁じる自己利益目的の株取引を約5000回にわたって繰り返すなどしたとして、同行から懲戒解雇されていたことがわかった。

元行員は一部の取引で融資先企業の内部情報を利用していたという。

同行を巡っては、融資先に無断で内部情報を系列証券会社と共有していたなどの疑いが「証券取引等監視委員会」の検査で発覚。元行員の不正は検査の過程で見つかったという。

 

(2)「金商法」

銀行や証券会社の役職員に対し、業務で得た顧客の内部情報を使った株取引のほか、自己の投機的利益を求める株取引を禁じている。

 

(3)「一連の取引で利益は出なかった金商法に違反の悪質な不正だ」(関係者)

同行で営業担当を務めていた元行員は2023年までの数年間に、自ら利益を得ることを目的として、家族名義での株取引を約5000回にわたって繰り返していた。このうち一部は、株式公開買い付けの実施など、業務に関連して知った顧客企業の内部情報を基に取引していたという。一連の取引では利益は出なかったが、同行は金商法に違反する悪質な不正と判断したとみられる。

 

(4)(証券取引等監視委員会)

近く、同行と系列の三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券が顧客の内部情報を無断共有していたなどとして、3社に金商法違反で行政処分を科すよう金融庁に勧告する見通し。元行員の不正については調査を継続するとみられる。