【FOMC】予測はタカ派的だが議長会見は中立的-市場関係者の見方(24年6月13日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

<私見:

米国では、現在、「家計調査」では失業したのでパートを掛け持ちする世帯が増加した。ところが、それは「事業所調査」では雇用増加になっていること。そしてFRBは政権に忖度して、もっぱら事業所調査結果(雇用増加)公表し、家計調査結果は自分たちだけで分析し、苦しんでいる。

金融企業は「雇用は堅調、米国経済は活発」といって株への投資を呼びかけているが、おそらく、自分たちは経済急変の準備はしている

 

記事(守護清恵、山口裕子)

 

(1)要点

米連邦公開市場委員会(FOMC)は11、12日両日に開催した定例会合で、主要政策金利を据え置くことを決定した。

決定は全会一致で金利据え置きは7会合連続となる。最新の四半期経済予測では、2024年の利下げ回数を中央値でわずか1回(3月時点は3回)と予想する一方、25年の利下げ回数の見通しは4回と、従来予想の3回から増えた。

 

リンク FOMCは金利据え置き、24年利下げ予想1回に減少-来年は4回

  

(2)これについての市場関係者の見方は以下の通り。

 

1)◎ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏:

  •     2024年に予定される利下げが1回のみであることは、経路依存性を巡る臆測につながるかもしれない
  •     状況は変わり得る。この日のインフレ統計が土台になる。今回の声明文は米金融当局のインフレ目標について「緩慢なる一段の進展」に言及した

 (◆経路依存症 Schoo for Business 

https://schoo.jp/biz/column/1069

 (Path Dependence)制度や仕組みが過去の経緯や歴史に縛れる現象のことです。もともとは経済学の世界で用いられた概念で、市場に新しい技術が導入された場合に、必ずしも性能の優れたものが広く受け入れられるわけではないことを説明するものでした。 

 過去に行われた決断が将来に役立つというポジティブな捉え方もありますが、一般的には、個人も組織も過去の意思決定の制約を受けたり、慣れ親しんだものを変化させるのはストレスになるなど、ネガティブな意味で用いられる傾向にあります。

以上)

 

2)◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのホイットニー・ワトソン氏:

  •     米金融当局が2%のインフレ目標に向けた「緩慢なる進展」を認めたのは、5月の消費者物価指数(CPI)でディスインフレのシグナルが示されたことに起因している可能性が高い。5月のCPIは予想以上に高かった第1四半期のインフレ率と対照的だった

 

3)◎エバコアのクリシュナ・グハ氏:

  •     パウエルFRB議長自身は2回の利下げ予想を示したと思われる。議長は5月の下降が今後数カ月続くのであれば、9月の利下げの扉をかなり開いている
  •     議長の記者会見では、1.5回の利下げシグナルに微調整された。われわれのかろうじての基本シナリオは引き続き2回だ

 

4)◎LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏:

  •     これは不要な金融情勢緩和を望まない方針の一部である可能性が高い。データに依存する米金融当局は緩和サイクル開始前に、一連のより落ち着いたインフレ統計を確認しなければならないためだ(<FRBは、インフレが沈静化に向かっていることを示すデータを待っている>)

 

5)◎インフラストラクチャー・キャピタル・アドバイザーズのジェイ・ハットフィールド氏:

  •     FOMCの四半期経済予測(SEP)はタカ派的で、1回の利下げしか示唆しなかったが、FOMC声明ではインフレ率の「緩慢な」進展を認めた。記者会見は中立的だったし、今朝発表されたインフレ率の低い数字は無視できないものだ

 

6)◎カーソン・グループのソヌ・バーギーズ氏:

  •     5月のCPIは予想より軟調で、第1四半期に見られた熱気をやや冷ました感があるが、『ドットプロット』はそれを考慮していない可能性が高い」と指摘。「われわれが予想するように、ディスインフレが続けば、2024年に2回の利下げが実施される可能性が高い

 

7)◎トレードステーションのデービッド・ラッセル氏:

  •     何も挟まっていないハンバーガーのように見かけ倒しだった。FOMCは状況が改善していると知りつつ、利下げを急ぐ必要がない。強い経済のおかげで、パウエル議長は雇用を損なわずにインフレをシステムから締め出すことが可能になっている。ゴルディロックスの姿が見え始めている。しかし政策当局者はその言葉を口にすることで縁起を悪くしたくない。

(◆ゴルディロックス効果 日本経営心理士協会

三段階の選択肢があった場合、人間は無意識のうちに真ん中の選択肢を選んでしまう傾向があるという心理効果のことで、日本では古くから「松竹梅の法則」と呼ばれてきました。 ゴルディロックス効果を使うと、(選択肢を3つ出すことで)、相手の行動をあらかじめ予測できるため、経済やマーケティングなど多くの領域で活用されています。)