米雇用者数の伸び、発表値より弱かった可能性-統計局データが示唆(24年6月7日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

記事(Rich Miller)

 

(1)要点

  •     雇用者の増加幅、昨年は毎月約6万人押し上げられていた可能性
  •     「雇用市場はFRBが考えているよりも弱い」-アイアンサイズ

 

(2)米国の労働市場は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長らの認識と比べると、ずっと活気がないかもしれない。

(米労働省労働統計局(BLS))

 5日発表したデータによると、昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づくランレートの約25万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性がある。

(雇用・賃金に関する四半期国勢調査)

 新たなデータは米雇用の95%以上をカバーしており、最終的には月間雇用統計の年次改定に使用される。

  

(3)米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げの開始時期を見極める中、今回の調査内容は労働市場を巡る不確実性を高める。

 1)労働市場は堅調

   月間雇用統計や

   週間新規失業保険申請件数など

 2)労働市場は弱含み 

   失業率の上昇や

   求人件数の減少

亀裂が生じていることを示唆する指標もある。

 

(4)アイアンサイズ・マクロエコノミクスの創設者であるバリー・ナップ氏は月間雇用統計について、「事業所調査が労働市場の実情を誇張してきた可能性は極めて高い」と述べ、「雇用市場はFRBが考えているよりも弱い」と指摘した。

  

(5)雇用がすでに広く認識されているよりも減速しているのであれば、米政策当局者が長期にわたり金融引き締めを続けることで、過度に雇用を減速させるリスクを高めることになる。

 

原題:US Payroll Gains Not as Robust as Reported, BLS Data Suggest