モルガンSが人気のマクロ戦略に警鐘、米選挙巡る不透明感増大で(24年6月4日 ブルームバーグ日本語電子版無料版)

 

要点

 (4)トレーダーは政治の「現状維持」を想定していない(トランプ再選を想定した動きをとる)。政府の財政政策が、経済や金融政策に与える影響がいかに大きいかは、新型コロナウイルス禍後の状況を見れば分かるという。

このため政策関連リスクのヘッジとして、エクスポージャーをベンチマークに近づけたり、投資のデュレーションを原債務に再び近づけたりする見通しだ。

◆リスクエクスポージャー

(英語表記「exposure」の日本語読み。、投資家や金融機関、企業が保有する金融資産のうち、市場の価格変動リスクや特定のリスクにさらされている金額や残高、その比率のこと。三和住友DSアセットマネジメント)

(英語表記はDuration。(1)債券を保有することによって利子および元本(=キャッシュフロー)を受け取ることのできるまでの期間を加重平均したもののこと。
債券投資の平均回収期間。具体的には、将来受け取る予定のキャッシュフローの現在価値を計算し、それぞれの現在価値が、キャッシュフローを受け取ることができるまでのそれぞれの期間にその現在価値合計に占める構成比を乗じて計算する。つまり、債券投資の平均回収期間を示している。特徴として、債券の残存期間を超えることはなく、クーポンや最終利回りが高くなるほど、デュレーションは小さくなる(債券投資の回収までの期間が早くなる)。
(2)債券投資の平均回収期間を示す以外に、金利がある一定の割合で変動した場合、債券価格がどの程度変化するかを示す感応度の性格ももっている。これをより直接表したものが、修正デュレーションで、デュレーションを(1+最終利回り)で除することで算出される。たとえば修正デュレーションが1の場合、最終利回りが1%変化すると債券価格も1%変化することを示している。修正デュレーションが大きいほど、金利変動に対する債券価格の変動率が大きくなる。野村證券)

 

記事(Carter Johnson)

 

(1)要点

  •     ドル・ロングや期間長めの米国債アンダーウエートは圧迫のリスク
  •     投資家がポートフォリオのリスクエクスポージャー削減選ぶと予想

 

(2)「投資家が11月の選挙の前に出口に向かう」

米選挙を巡る不透明感の高まりを受け、投資家がエクスポージャー削減を急ぎ、今年最も人気のあったマクロ取引の一部が危うくなる恐れがあると、モルガン・スタンレーは指摘した。

(ストラテジストのマシュー・ホーンバック、ジェームズ・ロード両氏のリポート)

投資家が11月の選挙の前に出口に向かう状況下で、利回りの低い通貨に対するドルのロングや期間長めの米国債のアンダーウエートなど人気のあった多くの取引戦略は圧迫される可能性がある。

  

(3)(モルガン・スタンレーのチーム)

5月31日付の年央見通しで、選挙に向かう期間に「大方の投資家はポートフォリオのリスクエクスポージャー削減を選ぶだろう」と予想し、「先行する投資家が人気の高いリスクエクスポージャーを減らすにつれ、マクロ市場はより幅広い投資家の参加を促す形で動くかもしれない」との見方を示した。

 

  

(4)トレーダーは政治の「現状維持」を想定する余裕はなく、財政政策が経済や金融政策に与える影響がいかに大きいかは、新型コロナウイルス禍後の状況を見れば分かるという。

このため政策関連リスクのヘッジとして、エクスポージャーをベンチマークに近づけたり、投資のデュレーションを原債務に再び近づけたりする見通しだ。

 

(5)モルガン・スタンレーによると、選挙が近づくのに伴い以下のマクロ市場ポジションはリスクが高そうだ。

  •     デュレーションニュートラルな米国債イールドカーブ・スティープナー
  •     欧州とカナダに対する米国のデュレーションのアンダーウエート
  •     日本のデュレーションのアンダーウエート
  •     利回り低めのG10通貨および新興国市場通貨に対するドル・ロング

 

原題:Morgan Stanley Warns US Elections Threaten Popular Trades (1)(抜粋)