トランプ氏評決 識者の見方(24年5月31日 日本経済新聞電子版)

 

記事(ニューヨーク=弓真名)

 

◆「トランプ支持基盤には大きな影響はない」

民主が利用、選挙は接戦に

(ノースフロリダ大学のマイケル・ビンダー教授(政治学、行政学))

 トランプ支持者のなかには、有罪評決によって同氏に投票する可能性が低くなると表明している人もいる。

こうした層が部分的にでもバイデン氏に投票すれば、激戦州で結果を左右する可能性がある。

トランプ氏は自分が政治的な「魔女狩り」の被害者だと訴え続けるだろう。

支持者の多くは今回の裁判を見せかけだと考えており、トランプ側の支持基盤には大きな影響を与えないとみられる。

有罪評決を受け、民主党はこれに関連するテレビ広告などを流し、選挙資金集めに奔走する。こうしたことが有権者の心理に深く入り込み、結果として今回の選挙は接戦になるだろう。

 

◆「罰金刑か刑務所収監かによって」

選挙資金調達影響の可能性

(インディアナ大学のエーロン・ダッソ准教授(政治学))

 有罪評決は政治的にはさほどダメージを与えないだろう。

トランプ氏は裁判の法的な正当性を認めておらず、支持基盤は同氏の有罪が確定しても考えを変えない。

トランプ氏は資金調達を続ける。可能性は低いとはいえ、もし同氏が刑務所に入ることになった場合は、資金集めに参加できなくなるなどの影響が出る。

罰金刑だけで済むならば、トランプ氏の「欠点リスト」がひとつ増えるだけで選挙結果にはあまり影響を及ぼさないだろう。

(ニューヨーク=弓真名)