長瀬産業、流せる尿漏れパッド実用化へ トイレで楽に処分(24年5月30日 日本経済新聞電子版)

 

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写真 特殊な薬剤をかけると1分足らずで液化する吸水材(右)を開発した

 

(1)長瀬産業はトイレに流せる「尿漏れパッド」を2027年以降に実用化する。

吸水材にでんぷん由来で生分解性が高く、特殊な薬剤をかけると1分足らずで液化する独自開発の素材を採用する。バイオ原料由来のため環境負荷も小さく、介護に携わる人の負担を大幅に軽減できる。介護施設などに売り込む。

 

(2)「まずは尿漏れパッドなどの小型の衛生用品、30年をメドにパンツ型紙おむつ」

紙おむつを取り扱うリブドゥコーポレーション(大阪市)と共同開発する。まずは尿漏れパッドなどの小型の衛生用品を開発し、27年をメドに介護施設やドラッグストアなど向けに販売する。30年をメドに、パンツ型など大人用の紙おむつを製品化する。

 

(3)処理方法

「尿漏れパッド」

 使用後に薬剤と一緒にトイレに入れて流すだけで処理が済む。

「紙おむつ」

 回収して専用の処理機で汚物と吸水材は下水に流し、紙パルプは回収しておむつや製紙材料などに再利用することを想定している。

 

(4)販売価格は未定。「コスト面が課題になってくると考えている」(リブドゥコーポレーション)としており、量産に向けて対策を検討する。

 

(5)高齢化により、紙おむつの需要は伸びている。大人用紙おむつや尿漏れパッドの生産量は21年に約42万トンと16年比14%増えている。

使用後の持ち運びや処分が介護者の負担になっている。

使用済みの大人用紙おむつは1人あたり1日1キロ以上の重さになるという調査もある。

環境省によると30年度に排出される使用済み紙おむつは250万トン前後と、20年度比で最大2割程度増える見込みで、その処理が課題となっている。