「紅麹」健康被害問題、原料から検出の「プベルル酸」が腎障害引き起こすことを確認…厚労省(24年5月29日 読売新聞オンライン無料版)

 

記事

(1)「原料から検出された青カビ由来の物質「プベルル酸」が腎障害の原因の可能性」

小林製薬(大阪市)の「 紅麹(べにこうじ )」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、厚生労働省は28日、原料から検出された青カビ由来の物質「プベルル酸」が腎障害を引き起こすことを確認したと発表した。

厚労省は原料を作る前の紅麹菌の培養段階で、青カビが混入してプベルル酸が生成されたとみて調査を進める。

 

リンク 「紅麹」の健康被害、66人に腎機能障害など後遺症…厚労省と大阪市が調査結果の中間報告

 

写真 小林製薬の紅麹製品

 

(2)同社のサプリを巡っては摂取後に腎臓病になる人が相次いでいる。

日本腎臓学会の調査では、腎臓にある尿細管の機能が低下する「ファンコーニ症候群」の患者も確認されている。

 

(3)「現時点で断定はできないが、プベルル酸が原因の可能性がある」

厚労省によると、プベルル酸の腎臓への影響を動物実験で調べたところ、投与したラットに腎臓の 壊死(えし )などが見られた。

厚労省は「現時点で断定はできないが、プベルル酸が健康被害の原因の可能性がある」としている。

 

(4)「工場の培養室や培養タンクから採取した青カビを培養したらプベルル酸が生成された」

この問題では、厚労省が小林製薬から紅麹原料のサンプルのほか、大阪と和歌山工場の機材や壁などの付着物を入手。国立医薬品食品衛生研究所(川崎市)で分析を進めてきた。

 同社の大阪や和歌山の工場の培養室や培養タンクなどからは、青カビが検出された。採取した青カビを培養したところ、プベルル酸が生成されたという。

 

(5)「青カビ培養段階で別の未知の物質がつくられた可能性も」

健康被害の訴えが集中している昨年6~8月の製造分からは、プベルル酸以外に、二つの化合物も検出された。

いずれも培養段階で青カビが混ざったことによってつくられたと推定される。未知の物質の可能性があるという。健康被害への影響はわかっておらず、今後、動物実験などを行う。